江の島に咲く花≪ハマスゲ≫
ハマスゲは本州、四国、九州、沖縄に分布し、江の島ではオリンピック記念公園や海辺の砂地にその群落が見られます。
ハマスゲ(浜菅)Cyperus rotundus |
ハマスゲは本州、四国、九州、沖縄に分布し、江の島ではオリンピック記念公園や海辺の砂地にその群落が見られます。 乾燥に強く砂地、畑、道端などいたる処に生育し、根茎や匍匐茎をもつことから根絶が難しく、雑草として厄介もの扱いにされていますが、一方では薬草として古くから利用されてきました。伸びた地下茎の先端の塊茎にはシペレン、シペロール、シネオールなどの精油を含み、独特の香ばしいにおいがしますが、この部分を乾燥して薬用にしたものが生薬の香附子(こうぶし)で、各臓器の機能を調えるとされ、漢方では健胃、浄血、通経、鎮痙(ちんけい)に効果があるとされています。生育環境は海岸や空き地 花期は7~10月 |
海辺に生えるハマスゲの花 |
一般の植物は光合成により大気中からCO2を取り込み炭素3個の化合物をつくるC3植物ですが、ハマスゲはPEP(ペップ)カルボキシラーゼを使って効率よくCO2を取り込み、最初に炭素4個の化合物(オキザロ酢酸)をつくるC4植物です。 江の島に自生するカヤツリグサ、シバ、ススキ、チガヤ、エノコログサ,メヒシバ、ジュズダマ、スベリヒユ、アオゲイトウなどの野草もC4植物の仲間で、いずれも乾燥、砂地、塩害、痩せ地などの厳しい環境に順応しながら生育しています。 |
ハマスゲの群生 地下茎と塊茎 |
ハマスゲの地下茎は横に這い、葉のつけ根や根茎の先は小さな塊茎になります。 茎は3角形で細長く、高さは15~40cm、葉の幅は2~6cmと狭く硬くて艶があります。花期は7~10月、先端に数個の苞葉と花序のつく枝を数本立て、小穂は艶のある濃茶褐色を帯び、長さは1.5~3cm、20~40個の花を2列につけます。地下茎の先端の塊茎には独特の香りがあり、この部分が薬用に用いられます。 ハマスゲは同じカヤツリグサ科のスゲ属とは異なり、蓑や菅笠の材料にはなりません。名前の由来はスゲの仲間で、海岸の砂地によく生えることからハマスゲ(浜菅)と名付けられました。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2010-10-16】 |