江の島に咲く花≪ハマツメクサ≫
ハマツメクサは日本全国に分布する越年草で、海辺の岩場や砂地などに生え、江の島では日当たりのよい路傍や海辺、稚児ヶ淵やその周辺でよく見かけます。
ハマツメクサ(浜爪草)Sagina maxima |
ハマツメクサは日本全国に分布する越年草で、海辺の岩場や砂地などに生え、江の島では日当たりのよい路傍や海辺、稚児ヶ淵やその周辺でよく見かけます。 茎は根もとから枝分れして葉が多く、仲間のツメクサ(Sagina japonica)に比較して全体に豊かな草姿をしています。 ハマツメクサの花は、淡紅色の花を集散花序に付けるナデシコのような華やかさはありませんが、白色の小さな5弁花を開き清楚で実に可愛らしいです。花期は3~5月 生育環境は海辺や岩場 |
江の島の海辺に生えるハマツメクサ |
和名は葉の形を鳥の爪に見立てたものですが、そんな刺々しさは全く感じられません。ナデシコ科の野草は、海辺や河川の砂地、高山の砂礫地などをニッチとして深緑色をした美しい葉をもつものが多く、対生、単葉でふちは滑らかです。花弁は5枚ですが、先端が2裂に切れ込み10枚に見えるものもあります。 早春の江の島の路傍や広場に咲くナデシコ科の野草には、ハコベ、オランダミミナグサ、ノミノフスマ、ツメクサ、ノミノツヅリ、シロバナマンテマなど、いずれも白系の花を開き、このうちハコベやノミノツヅリなどは花弁が切れ込んで10枚に見えます。初夏になると路傍に、ムシトリナデシコやフランネルソウなどが赤い花を開きます。海辺に咲くハマナデシコの花は美しい紅紫色ですが、今回は江の島での自生を確認することはできませんでした。踏みつけられながらも逞しく生きる野草も、人間と同じ自然の一部です。そっと手にとって観てください。きっとしあわせな気分にしてくれます |
路傍に生えるツメクサ ハマツメクサの花 |
ハマツメクサは海岸の砂地や岩礫地に生え、茎は根本からよく枝分れして高さ5~25cm、葉は針形で対生し深緑色で多肉質、先端はとがります。仲間のツメクサによく似ていますが茎が太く、葉がやや厚くて葉幅も1~1.5㎜と広く、全体が豊かに感じられます。 花期は4~8月、葉のわきから花柄をだし、白色5弁の小さな花を次々と開きます。蒴果は卵形で先が5裂に、種子は広卵形でツメクサの種子にあるような突起はありません。これが両者を見分けるポイントの一つになりますが、ツメクサの突起は小さくて肉眼では判別し難く、ルーペか顕微鏡を用いるのもよいでしょう。 和名の由来は、海辺に生え葉の形が鳥の爪に似ることに因みます。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2011-04-03】 |