トウオオバコ(唐大葉子)は本州、四国、九州に分布する多年草で、各地の海岸に自生し、江の島では海辺の岩場や岩屋洞窟の入り口付近にも生育しています。
江の島に咲く花≪トウオオバコ≫ | ||||
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岩場に生えるトウオオバコ |
このようにオオバコは踏みつけには強いが、 他の野草と共生できないデリケートなところがあります。 葉は地面に広がって高く伸びる性質がなく、 踏みつけが弱い場所では他の野草にその テリトリーを奪われて生育できないのです。 近年は道路がアスファルト舗装になり、 オオバコの生育にとってはさらに厳しい環境になっています。 オオバコの若葉は食用になりますが、一方、 乾燥させた全草は生薬の車前子 (しゃぜんし)として、咳止め、下痢、利尿、 消炎などに用いられています。 勿論トウオオバコも同じ薬草として用いることができます。 |
トウオオバコは海辺の日当たりのよい場所に 生え、同種のオオバコより大形で葉に毛がありません。 葉の長さは16~50cmで先がややとがります。 花期は7~8月、花茎は直立して40~80cm、長い 花穂に花は下から順に咲き上がり、雌蕊が先に 熟し、ついで4本の雄蕊が長く飛び出して花粉を 散らします。蒴果は上下ふたつに割れて、多数の 種子を散らします。 右の写真は仲間のオオバコ(Plantago asiatica) です。和名の由来は、葉が広くて大きいことから オオバコ(大葉子)で、路上に生えるオオバコに 比べて形が端正であることから、 むかし外国(唐)から渡来したものと考え、トウオ オバコ(唐大葉子)になったとされています。 |
![]() 踏みつけられた路上に生えるオオバコ |
【写真&文:坪倉 兌雄】