タンポポは道端や野に普通に生える多年草で、エゾタンポポ、カントウタンポポ、など・・・・
江の島の植物・野草≪タンポポ≫
江の島の北緑地に咲くタンポポ
これに対して在来種のカントウタンポポは、奥津宮境内付近などのほんの限られた場所でのみ見られ、開花の時期が
3~5月と短く、種の数も少ないことなどから見逃してしまいがちです。 これは両者の繁殖法の違いによるものと考えられています。カントウタンポポを含む在来種の大部分は有性生殖によって子孫を残しますが、その結実には昆虫等による花粉媒介を必要とします。カントウタンポポは自家不和合性が強くて自家受精はしません。また土地の変化を嫌い、造成地などには生育しないデリケートなところもあります。一方、外来種のセイヨウタンポポは受粉を伴わない単為生殖で子孫を増やし、造成地や痩せ地、乾燥した場所にも生え、四季の変化にも適応して生育することが出来ます。両者の簡単な見分け方として、カントウタンポポの総苞外片は立っていますが、セイヨウタンポポの総苞外片は反り返ります。これが外観上の見分け方とされてきましたが、最近では両者の雑種も存在するとの報告もあり、同定においてはさらなる検討が必要と考えられます。
綿毛を付けた種子は風に乗り新天地へ
江の島に生育するタンポポは、カントウタンポポとセイヨウタンポポですが、前者の葉は倒披針形で羽状に深裂し、後者の葉は羽状深裂から深い鋸歯まで変化があります。何れも黄色い花をつけますが、頭花は小花(舌状花)が沢山集まったもので、個々の小花には雄蕊、雌蕊があります。花は開いて夕方に閉じ、花が枯れる頃にはいったん花茎を地面に倒して数日間、種子が熟すと茎は再び立ち上がり、綿毛を付けた種子(痩果)は風に乗って新天地へと旅立ちます。種子が着地して条件が整えば約1週間で発芽し、根性葉をロゼット状に出して次の開花に備えます。タンポポの若芽や花、根は食用になります。乾燥した全草を生薬では蒲公英(ほこうえい)といい、健胃、解熱、泌乳剤などに用います。
【写真&文:坪倉 兌雄】