オオバヤシャブシは落葉の小高木で、関東南部から紀伊半島に分布し、早春に雄花は尾状花序を垂らします。
江の島の植物・樹木≪オオバヤシャブシ≫
オオバヤシャブシは落葉の小高木で、関東南部から紀伊半島に分布し、潮風に強く、海岸近くの山地などに生えます。早春に雄花は尾状花序を垂らしますが、毛虫がぶら下がっているように見えるという人もあり、決して見た目に美しい花とは言えません。それもそのはずオオバヤシャブシのようなカバノキ科の樹木の花は風媒花であるがために、美しく装って鳥や昆虫を呼ぶ必要がないのです。
(龍野ヶ岡自然の森で)
オオバヤシャブシはマメ科の植物と同じように、根に根粒を形成することから、荒れ地の緑化やクロマツを育てるための肥料木として、また乾燥地や海岸砂防の緑化によく植栽されました。この根粒を形成する根粒菌は土壌に広く分布し、植物の毛根から侵入して皮層内部に達すると増殖し根粒をつくります。空気中には80%を占める多量の窒素(N2)がありますが、一般の植物はこれを窒素同化に利用することはできません。しかしオオバヤシャブシのような非マメ科の植物でも、根粒菌の働きによってそれを利用することができるのです。根粒菌は地中に含まれる空気から窒素を取り入れて利用可能なアンモニウム塩(NH4+)に変え、宿主の植物に与えます。このような働きを窒素固定といいます。そのお返しとして、根粒菌は植物からすみかと糖分などの養分をもらう、いわゆる共生関係がなりたっているのです。名前は仲間のヤシャブシに比べて葉が大きく、熟した果穂の色とごつごつした感じを夜叉にたとえ、果実はタンニンを含み五倍子の代用にしたことから「大葉夜叉五倍子」になったとされています。因みに夜叉とは、インドの神話で森林に住み人を害する反面、財宝神でもあるとされ、仏教では仏法護持の神として取り入れられています(広辞苑より)。