江の島の植物・樹木≪カワズザクラ≫
3月の江の島は春の訪れを告げるサクラの開花がみられ、“湘南江の島まつり”と相まって一段の賑わいです。
3月の江の島は春の訪れを告げるサクラの開花がみられ、“湘南江の島まつり”と相まって一段の賑わいです。
江の島の植物・樹木≪カワズザクラ≫
2013年3月16日
青空に映えるカワズザクラ(H25.03.11撮影)
カワズザクラ(河津桜) Prunus lannesiana cv. Kawazu-zakura バラ科 サクラ属 落葉高木
3月の江の島は春の訪れを告げるヤブツバキ、ウメ、モモなどの花が咲き、サクラの開花がみられ、スイセンやタチツボスミレなどの野草もきそって花をつけ、春の香りが一杯、“湘南江の島まつり”と相まって江の島は一段と賑わい、活況を呈します。カワズザクラはみどりの広場や亀ヶ岡広場などに植栽されている早咲き品種で、今年は2月中旬から咲き始めました。このカワヅザクラはオオシマザクラ系とカンヒザクラ系の自然交配種と推定されており、それぞれの特徴を兼ね備えた美しい花です。
カワズザクラは昭和30年(1955)頃、静岡県河津町で偶然発見された品種で、名前はその町名に因みます。江の島にはオオシマザクラやソメイヨシノ、サトザクラなどがあり、3月下旬から4月中旬頃まで花を楽しむことができます。
みどりの広場に咲くカワヅザクラ
亀ヶ岡広場に咲くカワズザクラ
亀ヶ岡広場に咲くカワズザクラ 葉柄に一対の蜜腺 花はやや下向きに咲きます
カワヅザクラの蕾は濃紅色ですが、開いた花弁は円形で5枚、淡紅色でやや下向きに咲きます。花径は約30㍉で花弁の長さと幅はともに14~16㍉となり、ほぼ平開します。萼筒の長さは約8㍉で太く釣鐘形で、小花柄は無毛。葉柄の上部に一対の蜜腺があります。葉は長さ12~15㌢で倒卵状楕円形、縁に鋸歯があり先端は急に細くなって尾状に尖ります。花は淡紅色で、やや下向きに平開するなど、 オオシマザクラとカンヒザクラ双方の形質を受け継いだ早咲きのサクラです。カワヅザクラの一方の親とされるオオシマザクラは、3月下旬~4月上旬に新葉と同時に開花し、花は白くて花径は30~40㍉、花弁は5個で平開します。もう一方のカンヒザクラの開花は3月中旬で、葉より先に緋紅色または桃紅色で直径約20㍉の花が半開状に垂れ下がって咲き、早咲き品種の交配親としてもよく知られています。
【写真&文:坪倉 兌雄】
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2019年3月10日