センニンソウはつる性の植物で、日本全土に分布し、江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森などで普通に見ることができます。
江の島の植物・野草《センニンソウ》》
2013年12月 10日 写真&文: 坪倉 兌雄
8~9月、葉のわきに径2~3㌢の白色の花を多数つける
センニンソウ(仙人草)
Clematis terniflora
キンポウゲ科センニンソウ属属
センニンソウはつる性の植物で、日本全土に分布し、江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森などで普通に見ることができます。円柱状の茎(つる)は長く伸びて枝を分けます。節ごとに葉は対生し、他の物に葉柄や小葉柄を巻き付けて生長しますが、茎が巻きつくことはなく、巻きひげもありません。地上部の茎の一部は固く、冬季でも残りますが、肥大生長は見られません。
葉には長い柄があり、3~7枚の小葉からなる羽状複葉で、小葉は卵形、ときには2~3の切れ込みのある葉をつけます。花期は8~9月で、茎の先端の葉腋から三出状に散房花序をだし、径2~3㌢の白色の花を上向きに多数つけます。花には花弁はなく、花弁状に見えるのは4枚の萼片で、中央に多くの雄蕊と雌蕊が集まります。 花期は8~9月で茎の先端の葉腋から三出状に散房花序をだし、径2~3㌢の白色の花を上向きに多数つけます。花には花弁はなく、花弁状に見えるのは4枚の萼片で、中央に多くの雄蕊と雌蕊が集まります。
節ごとに葉は対生する
4個の萼が平開して花弁状になる
花後、雌蕊の花柱は子房に残り、さらに伸びて種子が熟すると羽毛状になり、風によって運ばれます
花被片の中央から長く伸びている雄蕊の花糸の長さはおよそ8㍉で、先端に葯がつきます。雌蕊も数本あり、細長い花柱は花後に脱落することなく、さらに3㌢ぐらい伸びて子房にそのまま残ります。秋、種子が熟すると花柱は羽毛状(写真参照)に変化し、風に乗って運ばれ生殖範囲を広げます。和名はこの羽毛を老人(仙人)の白髪に見立てたもの、との説があります。果実はそう果(痩果)で平たく倒卵形、黄褐色で長さはおよそ7㍉、中には種子が1個あり、熟しても裂開しません。そう果とは種子を1個含む果皮の薄い果実をいい、種子と区別がつきにくく、キク科のタンポポなどでも見られます。センニンソウは全草に有毒成分があり、葉や茎の汁に触れると皮膚炎を起こし、食べると危険です。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2019年3月22日