オオシマザクラは伊豆諸島に自生し、野生化したものもあります。潮風に強く、江の島では北緑地や神社境内…
江の島の植物・樹木《オオシマザクラ》
2014年3月11日 (写真&文:坪倉 兌雄)
オオシマザクラ(大島桜)
Prunus lannesiana var. speciosa
バラ科サクラ属 落葉高木
オオシマザクラは伊豆諸島に自生し、房総半島や伊豆半島などで古くから栽培され、野生化したものもあります。潮風に強く、江の島では北緑地や神社境内、裏参道の海側などでみることができます。樹高は8~10㍍で樹皮は暗灰色、葉は厚く倒卵状楕円形で長さは8~13㌢、先端は尾状に伸びます。
江の島の海辺に咲くオオシマザクラ
葉は両面とも無毛で鋸歯の先が細くとがり、裏面は淡緑色で、葉柄も無毛です。3月下旬~4月上旬、緑色の新葉と同時に香りのある直径3~4㌢の白い花を、3~4個散房状に咲きます。花弁は5個、先が2裂して平開します。花柄は太くて長さは2~4㌢で無毛、萼片の長さは7~10㍉で無毛、萼筒は筒状の釣鐘形で長さは約10㍉で無毛です。6月頃、果実は球形で紫黒色に熟し食べられますが、ややえぐみがあります。
葉は両面とも無毛で鋸歯の先が細くとがり、裏面は淡緑色で、葉柄も無毛です。3月下旬~4月上旬、緑色の新葉と同時に香りのある直径3~4㌢の白い花を、3~4個散房状に咲きます。花弁は5個、先が2裂して平開します。花柄は太くて長さは2~4㌢で無毛、萼片の長さは7~10㍉で無毛、萼筒は筒状の釣鐘形で長さは約10㍉で無毛です。6月頃、果実は球形で紫黒色に熟し食べられますが、ややえぐみがあります。
新葉と同時に白い花を咲かせます(北緑地)
干潮時に北緑地から片瀬海岸へ砂嘴(さし)が現れます
北緑地に咲くオオシマザクラ
葉はやや厚く先が尖ります
葉は桜餅に使われます
名前の由来は大島に自生するサクラに因むとされています。我が国では古くからサクラの品種育成が行われ、人為的な交配などで多くの園芸種が生まれていますが、これらのうち八重咲きのサクラを総称してサトザクラ(里桜)と呼び、その中でもオオシマザクラ系が最も多いとされています。観賞用として普及しているソメイヨシノ(染井吉野)は一重咲きですが、江戸時代に売り出されたサクラで、エドヒガンとオオシマザクラの交配種とされています。オオシマザクラの葉は厚くて毛が無いことから、桜餅を包むのに使用され、その大半は伊豆半島で生産されています。この桜餅は江戸時代に、小麦粉の皮に餡を入れてサクラの葉(塩漬けされたもの)で包み、蒸籠(せいろう)で蒸したものを江戸向島の長命寺から売り出したのが始まりとされています(広辞苑より)。葉は生では匂いませんが、塩漬けにすると液胞内にあるクマリン酸の配糖体が加水分解してクマリンを生成し、桜餅独特の芳香を放ちます。もちろん桜餅は、そのまま葉ごと食べることもできます。オオシマザクラは潮風に強く、庭木や公園、街路樹として利用されていますが、かつては木炭原料にも用いられていました。材の目が細かく建材や家具などの器具材に、また樹皮は茶筒など工芸品の材料としても使用されています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2019年3月22日