サルトリイバラは,江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森、などに生育しています
江の島の植物・サルトリイバラ
2015年4月15日 写真&文:坪倉 兌雄
サルトリイバラ(猿捕茨) Smilax china サルトリイバラ科(またはシオデ科) サルトリイバラ属
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サルトリイバラはつる性の落葉低木で、日本全国の山地に分布します。江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森、海辺などの比較的明るい場所に生育しています。茎はかたく刺があり、節ごとに折れ曲がって他ものに絡みながら2㍍以上に伸びます。葉は互生し、円形~楕円形で長さは5~12㌢、無毛で全縁、質は厚くて光沢があり、3~5脈が目立ちます。葉柄は短く、そのつけ根に托葉が変化した1対の長い巻きひげがあります。雌雄異株で4~5月、若葉とともに葉腋から散形花序をだし、黄緑色の小さな花を多数つけます。花被片は6個で上部が反り返り、雄花には雄しべが6個。雌花の柱頭は3つに分かれます。果実は約8㍉の液果で球形、10~11月に紅色に熟し食べられます。
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サルトリイバラの根茎はサポニンやフラボノイド配糖体などを含み薬用に用いられ、若葉はおひたしや天ぷらなどの食用に、赤い果実がついた枝先は生け花や茶花としてよく利用されます。名前は刺の密生したこのイバラに猿が絡まったら動けなくなり、人に捕らえられる意味でつけたものとされています。端午の節句にはカシワ・槲(ブナ科の落葉高木)の葉に包んだかしわ餅を食べますが、サルトリイバラの葉でかしわ餅を包む地域もあります。ちなみにかしわ餅の名前は、太閤秀吉が勝戦に絡んでつけた「勝和餅(かちわもち)」から、かしわ餅に。カシワ(槲)の葉は離層形成の進み方が遅く、古い葉は新芽が出るまで残ります。この古い葉が新芽を守ることから、「子孫繁栄」の縁起をかついで、かしわ餅(柏餅)になった、などの説がありますが、このかしわ餅は江戸時代の参勤交代で各地に広まったものとされています。
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2019年3月22日
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