ヤブニッケイは潮風に強く、日陰でも比較的よく育ち、江の島では裏参道の山側、龍野ヶ岡自然の森、海辺などで見ることができます。
江の島の植物・常緑高木≪ヤブニッケイ(藪肉桂)≫
2015年7月8日 (写真&文:坪倉 兌雄)
ヤブニッケイは福島県以西の本州、四国、九州、沖縄に分布する常緑の高木で、山地に生え、高さは15㍍になります。 |
名前の由来は、同じクスノキ科の肉桂(ニッケイ)に比べて、劣る(役に立たない)ことからヤブ(藪)をつけたものとされ、肉桂の名は、中国では香木を「桂」と呼び、厚い樹皮「肉」であることから、肉桂になったとされています。ニッケイは中国雲南省やベトナムがその原産地で、葉や樹皮、根の皮に強い香りをもつ精油を含み、生薬名「桂皮(けいひ)」として健胃薬に、また香辛料などに用いられています。クスノキ科の植物は世界に約31属2000種以上あるとされ、全体に芳香のある揮発油を含むものが多く、身近なところでは、樟脳や樟脳油をつくるクスノキや、月桂油をとり香水や料理の香辛料に用いるゲッケイジュ(月桂樹)などがよく知られています。江の島で見られるクスノキ科の植物には、ヤブニッケイ、クスノキ、ゲッケイジュの他に、タブノキ、シロダモ、ハマビワなどがあります。 |