ヤマノイモは自然薯とも呼ばれつる性の多年草です。江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森の藪の中などで見ることができます。
江の島の植物・野草 ≪ヤマノイモ(山の芋・自然薯)≫
2015年9月23日 (写真&文:坪倉 兌雄)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属 ヤマノイモは自然薯とも呼ばれ、日本原産の野生種で、本州、四国、九州、沖縄に分布するつる性の多年草です。山野に生え、江の島では参道わきや龍野ヶ岡自然の森の藪の中などで普通に見ることができ、樹木など他ものに巻きついて成長し、3㍍以上になります。茎はアサガオと同じ左巻で、葉には長い葉柄があります。葉は対生し長卵形で全縁、先は鋭くとがり基部は心形。雌雄異株で、花期は7~9月、葉のわき(葉腋)に2~5個の穂状花序をだし、白色の小さな花を開きます。雄花の花序は上向きに、雌花の花序は下向きに垂れ下がり、花被片はいずれも6個。雌しべの子房には翼があり、成長すると3方に張り出します。蒴果は軍配状の3稜翼に、種子は円形で、まわりに丸くて薄い翼がつき、風に乗って他の地へ飛び、そこで仲間を増やします。 | Dioscorea japonica|
雄株、雌株いずれの葉腋にも5~10㍉の珠芽(むかご)がつきますが、秋には地に落ちてさらに仲間を増やします。自然薯の地中にのびた円柱形の塊根(多肉根)は芋と呼び食用にしますが、その掘り出し方が大変難しく、きれいに掘り出すには相当の熟練が必要です。厳しい環境で育っているので粘りが強く、畑で育てられた長芋に比べると香りがよく、粘りは4倍以上といわれています。名前は山に生える芋で「山の芋」、野生種であることから「自然薯」ともいい、多くの滋養・薬効成分を含み糖尿や肥満予防、成人病の予防などにも効果があるとされています。また若葉やムカゴも食用になります。 |