カンザンは、セキヤマとも呼ばれ明治期に全国に広まったとされており、関東でも一番よく目にする八重咲きの桜です
江の島の植物・落葉高木≪カンザン(関山)≫
2016年3月23日 (写真&文:坪倉 兌雄)
Prunus lannesiana cv. Sekiyama バラ科サクラ属 | 江の島の植物・落葉高木 ≪カンザン(関山)≫ |
江の島では江島神社・奥津宮境内に咲き、オオシマザクラやソメイヨシノが散った後の、4月中旬が一番の見頃となります。名前の由来は不明ですが、学名はセキヤマで登録されています。 カンザンの開きかけの花は、梅酢や食塩に漬け込んで熟成させ、桜湯にして結婚式などのお祝いの席などで用いられますが、美しい八重の花とそのほのかな香りが、幸せな雰囲気をさらに盛り上げます。もともとサクラの葉や花の細胞にはクマリン配糖体が含まれており、塩漬けなどにすると細胞が壊れて配糖体が分解し、クマリンが生成されて独特の香りを放ちます。奥津宮境内では、同じ栽培品種で、八重咲きのフゲンゾウ(普賢象)も同時期に開花します。花の中央の2本の雌しべが緑色の葉のようになって突出ることから、これを普賢菩薩の乗るゾウの鼻または牙に見立てて名付けられたとされていますが、このフゲンゾウの花もカンザンと同じように桜湯に用いられます。 |