江の島
 

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江の島

江の島の植物・スダジイ

2021年5月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
mamakonoshirinugui1黄褐色の花序をつけたスダジイ(サムエル・コッキング苑にて)
スダジイ(すだ椎)C. cuspidate va sieboldiiはブナ科シイ属の常緑高木で、雌雄同種。本州(福島・新潟以西)、四国、九州など、暖地の海岸付近などに生育し、鬱蒼とした森の中に、その大木をよく見かけます。一般的にはシイノキと呼ばれ、江の島では神社境内、海側の参道わき、龍野ヶ丘広場、サムエル・コッキング苑などで、樹冠を広げたその大木を見ることができます。塩害に強く、タブノキやモチノキなどとともに「緑の江の島」を演出する主要樹木の一つです。幹は直立して樹高は10~15㍍以上に、樹皮は黒褐色で、枝を横に張り出して樹冠は丸く、大木になると樹皮に縦の深い裂け目が入ります。葉は互生し、長さ5~15㌢、幅2~4㌢の広楕円形で先端は尖り、上半部に波状の鋸歯があるもの、無いものもあります。葉柄の長さは0.5~1.2㌢、葉は緑色の革質、厚くて光沢があり、裏面は灰褐色で鱗片状の毛が密生します。葉が展開すると托葉は落ちます。
mamakonoshirinugui2枝を横に張り、縦に裂けた皮目が目立つ大木
mamakonoshirinugui3雄花序は新枝の下部から伸びて先端は垂れる
mamakonoshirinugui4葉の裏面は灰褐色
mamakonoshirinugui5雌花序は葉腋から伸びる
mamakonoshirinugui6堅果は翌年の秋に熟す
花期は5~6月、花は風媒花から虫媒花へと進化したものとされ、花は強い香りを発散して昆虫を呼びます。雄花序は本年枝の下部の葉腋から上向きに伸びて長さは8~12㌢になり、先端は垂れ下がります。雄花は苞のわきに1個つき、花被は半球形で直径は約3㍉、雄しべは10~12個あります。雌花序は本年枝上部の葉腋から伸びて長さは6~10㌢に、雌花が多数つき、花の基部は椀状の総苞に包まれて、花柱は3本あります。殻斗(総苞が変化したもの)に包まれた堅果は翌年の秋に成熟します。成熟した殻斗は3裂して中から堅果が出ます。堅果の長さは1.6~1.8㌢の円錐状卵形で食用になります。スダジイは庭木や公園樹、建築材や器具材、薪炭やシイタケの原木などにも用いられます。記紀万葉の時代から有用な樹木として用いられ、名前の由来はシヒ(強)から「椎(シイ)」に、などの説もあります。椎は万葉集にも詠まれています。

家にあれば 筍(け)に盛る飯(いい)を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る  
              (巻ニ 一四ニ 有間皇子(ありまのみこ))
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