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趣 味・歴史

続・湘南のお地蔵さま(48)『お手引地蔵』

2020年12月7日  (江ノ電沿線新聞)
otebikijizou 1『お手引地蔵』
        小田原市 酒匂      中島淳一  
 国府津駅より小田原駅行のバスで十分程の酒匂中学で下車。道路の反対側少し先に日蓮宗法船寺がある。その本堂手前に立派な地蔵堂があり、日蓮聖人像の後ろにお手引地蔵が祀られる。重厚感のある石造の立像で、お体に比べ少し大きめのお顔は永い年月のため目鼻立ちがはっきりとしないが、右手に錫杖左手に宝珠を持ち蓮弁形の光背をつける。
この地蔵には次のような話が伝わる。鎌倉時代の文永十一年(一二七四)五月、政治・宗教のあるべき姿を何度も幕府へ訴えたが認められないと悟った日蓮聖人とその一行が鎌倉を離れ、身延山を目指す途中で酒匂川の増水のため立ち往生を余儀なくされた。辺りは徐々に暗くなり困っていたところ、一人の老翁が突如現れ、地蔵堂(法船寺)へと導き一行はここに一泊し、翌日無事に川を渡ったが、その老翁が地蔵堂に祀られるお手引地蔵だったのである。
このご縁で法船寺は日蓮聖人ご宿泊の霊跡として近世より有名だったようで、本堂には出開帳(でがいちょう)用と伝わる木造の地蔵尊と版木が祀られる。
また境内に建つ平成六年建立の五重塔(六・八メートル)は本格的な造りで見事である。
庶民救済の話ばかりが伝承する中で、日蓮聖人をお助けしたこのお地蔵さまは特別な存在なのかもしれない。
 
 

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