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趣 味・歴史

ゴイサギ(五位鷺)の話

2021年3月1日  (itazu)
ゴイサギは、漢字名で「五位鷺」と書きますが、面白い逸話があります。
                               御殿辺橋で見かけたホシゴイ
御殿辺橋でホシゴイ(ゴイサギの幼鳥)を見かける

2月20日のことでした。藤沢から境川沿いに散歩していた時、遊行寺近くの御殿辺橋の段状の小ダムの急流に、白い斑点のある水鳥を見かけました。ゴイサギ(五位鷺)の幼鳥のホシゴイでした。
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ゴイサギ
左記は、蓮池で撮られた成鳥のゴイサギです(撮影:藤沢在住の福岡千秋さん)。
ゴイサギは頭、背が紺色で、白と対照的でよく目立ちます。幼鳥のホシゴイは、敵から目立たないように斑模様になっているのでしょうか。ゴイサギは,留鳥で大きさは60cm位。

ゴイサギの名前の由来(「平家物語」)

ゴイサギの漢字名は五位鷺です。五位は律令制の位階で、貴族や役人の官位の一つです。
この鳥の名前の由来には、こんな逸話があります。

醍醐天皇(897-930)の時、天皇が平安京の御所内の庭園に鷺を見て、従者に捕獲するよう命じましたが、鷺が逃げようとするので、「宣旨(天皇の命令)である」と叫んだところ鷺はひれ伏したので、捕まえることができました。天皇は、鷺を「神妙である」として五位に任じ、鷺の王であるという札をつけて放されたそうである。 
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「鷺」足立礼子 © TOSHIRO MORITA
これが「平家物語」(巻第5「朝敵揃」)の記述にある王朝の権威を示す逸話です。
醍醐天皇の統治は、「延喜の治」と称され聖代(聖徳の高い天皇の世)とみなされ、「古今集」などを選集しています。

五位というのは、宮中に入ることが許される身分(殿上人)です。
背を丸めたゴイサギを見ていると、いかにも、神妙にしている姿が、さもありなんという気がしてきます。
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「鷺」観世栄夫 © TOSHIRO MORITA
なお、この鷺の逸話は、お能にもなっていて、演題は「鷺」です。

写真上)「鷺」足立礼子 © TOSHIRO MORITA
写真下)「鷺」観世栄夫 © TOSHIRO MORITA
(写真出典:the能ドットコム https://www.the-noh.com/jp/
 
天皇の勅と言えば絶対で、風や雨など自然も従うと思われていた時代ですから、このように鳥の世界にも及んでいたかと思うと大変面白い逸話です。

(参照した文献:「日本野鳥歳時記」大橋弘一著、ナツメ社)

記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2021年3月1日