偽数珠根の木は、江の島では裏参道山側などで見ることが出来ます。4~5月、1~2個の白い花をつけます。
江の島の植物・常緑小低木 ≪ニセジュズネノキ≫
2017年2月8日 (写真&文:坪倉 兌雄)
ニセジュズネノキ(偽数珠根の木) ニセジュズネノキは、山地の林野に生える常緑の小低木で、わが国では関東以西、四国、九州、沖縄に分布し、江の島では裏参道山側などで見ることが出来ます。高さは30~70㌢で、多数の小枝を出して横に広がり、小枝には長さ3~10㍉の刺針があります。葉は卵円形で対生し、やや厚くて硬く、長さは2.5~4㌢、表面には光沢があります。4~5月、葉腋に1~2個の白い花をつけます。花柄の長さは約2㍉、花冠の長さはおよそ1.5㌢の筒状漏斗形で、その先端は4裂に、果実は直径7~8㍉の球形で、12月頃に赤く熟し、先端に萼が残ります。かつては、奥津宮境内海側斜面の、釣り人などが通る小路のわきにも、ニセジュズネノキが見られましたが、とかく刺のある植物は嫌われもの、根こそぎ抜き取られてしまいました。 | |
ニセジュズネノキの名の由来は、近畿以西に分布する近縁種のジュズネノキ(数珠根の木)の根が、数珠状に肥厚するのに対して、この木の根は肥厚しないことから、偽(にせ)を冠したとされています。ニセジュズネノキによく似た近縁種のアリドウシは、関東以西に分布しますが、江の島には自生していません。アリドウシの葉の長さは1~2.5㌢と、ニセジュズネノキに比較して小さく、刺針は1~2㌢で長いことなどから識別できます。関西方面では、正月の縁起物として、センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)、アリドウシ(有り通し)を並べて、床の間などに飾る風習も見られます |
2018年5月31日