染井吉野はオオシマザクラとエドヒガンの交配種とされ、北海道南部から九州まで広く栽培されています。
江の島の植物・落葉高木≪ソメイヨシノ(染井吉野)
2017年3月8日 (写真&文:坪倉 兌雄)
Cerasus×yedoensis ‘Somei-yoshino’ バラ科サクラ属 ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交配種とされる栽培品種で、接ぎ木によって容易に繁殖させることができ、葉が出る前に開花して花つきもよく、観賞用として北海道南部から九州まで広く栽培されており、各地気象台の開花観測の対象となっています。江の島では3月の下旬から4月の上旬に開花し、江島神社境内、北緑地広場、聖天島公園、中津宮広場、亀ヶ岡広場、江の島大師、龍野ヶ岡自然の森などで見ることができます。葉はやや厚く先は尖り長さは8~10㌢、ふちには鋭い鋸歯があり、両面に細毛があります。花は白色に近い淡紅色で散形状に密集して咲き、花弁は5枚で長さは約2㌢、先端は2裂。花柄や小花柄には細毛があります。萼筒は筒形で長さ6~7㍉の赤褐色で毛があり、萼片は5個、苞はくさび形で細毛があります。まれにつく果実は球形で紫褐色に熟します。 | 江の島の植物・落葉高木≪ソメイヨシノ(染井吉野)≫|
サクラの花弁や萼片は花床筒の上端につき一見下位子房のように見えますが、子房と花床筒の間には隙間があることから周囲子房と呼ばれています(写真参照)。ソメイヨシノにもまれに種子がつくこともありますが、自家不和合性のため種子で同じソメイヨシノを増やすことはできません。ソメイヨシノはクローン植物として接ぎ木などで増やします。ソメイヨシノの実生から選抜育成したサクラの一つにタマナワザクラ(玉縄桜)があり、早咲き品種として江の島の奥津宮境内や龍野ヶ岡自然の森などに植栽されています。ソメイヨシノは、江戸時代末期に東京染井村(現在の豊島区駒込)の植木屋から広まったとされ、当初はヨシノザクラと呼ばれていましたが、奈良県の吉野山に咲くヤマザクラと混同されやすいことから「染井吉野」として売り出され全国に広まったとされています。 |
2018年11月27日