江の島と名品浮世絵展 藤沢市藤澤浮世絵館で、開館1周年記念の展示「江の島と名品浮世絵展」が開催されています。
江の島と名品浮世絵展
2017年10月06日 (Tanbakko)
藤沢市藤澤浮世絵館は7月に開館1周年を迎えました。それを記念して「江の島と名品浮世絵展」が開催されています。今回の展示は、「公益社団法人 川崎・砂子(いさご)の里資料館」所蔵作品から浮世絵の歴史に重要な絵師の名品も多数展示されていて見逃せない展示です。
今回の展示の見どころは「広重の東海道作品を見比べ」「江の島浮世絵大集結」「名品にみる浮世絵のながれ」です。
●広重の東海道作品を見比べ
東海道五十三次コーナーでは、風景画の名手、歌川広重の東海道を描いた2つの作品、「隷書(れいしょ)東海道」と「竪絵(たてえ)東海道」から神奈川の宿場を描いた作品が展示されています。左側の作品は「隷書東海道」で、大鋸橋(現在の藤沢橋)付近の夜の宿場が描かれています。右側は「竪絵東海道」で、南湖の松原とそこから見える左富士が描かれています。左富士は東海道中では南湖と吉原宿の2ヶ所のみで見ることのできる希少な風景です。
「隷書東海道」は、広重の出世作「保永堂版東海道」から15年以上たった1849年に刊行されました。洗練された描写と色使いが特徴となっています。
一方「竪絵東海道」は、広重の晩年期の1855年の刊行で、縦の構図を活かし、上空から眺めるような構図で描かれているのが特徴です。川崎、保土ヶ谷、藤沢、平塚など各宿場の描かれ方の違いが楽しめます。
一方「竪絵東海道」は、広重の晩年期の1855年の刊行で、縦の構図を活かし、上空から眺めるような構図で描かれているのが特徴です。川崎、保土ヶ谷、藤沢、平塚など各宿場の描かれ方の違いが楽しめます。
●江の島浮世絵大集結
江の島は江戸時代における一大参詣・観光の地でした。多くの有名な絵師が江の島を描いています。藤沢宿コーナーと江の島コーナーでは、葛飾北斎、鳥居清長、喜多川歌麿、歌川広重など有名な絵師が描いた選りすぐりの浮世絵作品が展示されています。
葛飾北斎「冨嶽三十六景 相州江の嶌」は北斎の代表作「冨嶽三十六景」の内の一枚です。島中央の三重塔は現存していませんが、杉山検校建立と伝えられています。鳥居清長「江之嶋の参道」のような縦に細長い浮世絵は「柱絵」と呼ばれ、江戸の町人が家の柱に貼って楽しんだと言われています。
●名品にみる浮世絵のながれ
企画展示コーナーでは、初期浮世絵から幕末までの様々な時代の作品を展示し、浮世絵が発展していく様子が紹介されています。鈴木春信の「風流やつし小野道風」は多色刷りが可能となった初期浮世絵の時代の作品です。歌川広重の「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」は広重晩年の作品ですが、ゴッホが模写したことでも知られる名品です。
「公益社団法人 川崎・砂子(いさご)の里資料館」所蔵の貴重な浮世絵が数多く展示されています。浮世絵の祖と言われる菱川師宣の墨一色で摺られた墨摺絵から始まり、美人絵・役者絵・武者絵・風景画(名所絵)など題材も多彩で、作風も時代の変遷やその時々の流行などに応じて変化していきます。浮世絵が時代とともに鮮やかに展開していく様子が楽しめます。
●学芸員による見どころ解説
学芸員によるみどころ解説が10月9日(月・祝)と10月15日(日)に行なわれます。学芸員の話を聞いて展示作品を鑑賞すればより理解も深まると思います。事前申込み不要・参加費無料です。
・開催日時:10月9日(月・祝)/10月15日(日)
11:00~/14:00(30分程度)
・定員:各回40名(当日先着順)事前申込みは不要。参加費無料。
・会場:藤澤浮世絵館多目的室・展示室
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページやFACEBOOKで展示作品の解説を掲載しています。あわせてご覧ください。
藤澤浮世絵館公式ホームページ:http://fujisawa-ukiyoekan.net/
※浮世絵の画像はチラシからスキャンしたため不鮮明なところがあります。ご容赦願います。実物は是非藤澤浮世絵館でご覧ください。
2018年5月20日