咳止地蔵 伊勢原駅南口から東海大学病院の大きな建物をめざし、「市役所入口」の交差点をさらに三百メートル程進むと信号がある。
続・湘南のお地蔵さま『咳止地蔵』
2017年11月12日 (記事:江ノ電沿線新聞11月号)
『咳止地蔵』 伊勢原市 下糟屋 中島淳一
『咳止地蔵』
伊勢原駅南口から東海大学病院の大きな建物をめざし、「市役所入口」の交差点をさらに三百メートル程進むと信号がある。
そこを右折すると川沿いに小さなお堂があり、咳止地蔵が祀られる。下糟屋(しもかすや)というこの地は、信仰の道大山道のひとつ戸田道が通っていた。
お堂の中の石のお地蔵さまは胸前で合掌し、衣文の線や蓮台の蓮弁も簡潔かつ力強く表現されており、技量に長けた石工の作と思われる。なお蓮台はお体と一緒に彫出され、別材による塔身に座っている。江戸中期に再建されたようで、その表情は優しく穏やかだが、合掌する両手には、百日咳など病に苦しむ人々を遍(あまね)く救おうとする強い思いが感じられる。お地蔵さまではあるが、修行を重ねた高僧のようにも見える。
江戸時代に隆盛をみた大山詣での人々もこの像に参拝し願を掛けたのだろうが、現在も近隣の家でこの地蔵尊のお札を配っていることを耳にした。そのお札には「咳止橋地蔵大菩薩」とあり、以前ここに架かっていた「せきど橋」の名前に由来することがわかった。
今も五月五日の例祭には、法要や「振る舞い」があるとのこと。これからも地域とお地蔵さまの絆がさらに深まることを祈りたい。
そこを右折すると川沿いに小さなお堂があり、咳止地蔵が祀られる。下糟屋(しもかすや)というこの地は、信仰の道大山道のひとつ戸田道が通っていた。
お堂の中の石のお地蔵さまは胸前で合掌し、衣文の線や蓮台の蓮弁も簡潔かつ力強く表現されており、技量に長けた石工の作と思われる。なお蓮台はお体と一緒に彫出され、別材による塔身に座っている。江戸中期に再建されたようで、その表情は優しく穏やかだが、合掌する両手には、百日咳など病に苦しむ人々を遍(あまね)く救おうとする強い思いが感じられる。お地蔵さまではあるが、修行を重ねた高僧のようにも見える。
江戸時代に隆盛をみた大山詣での人々もこの像に参拝し願を掛けたのだろうが、現在も近隣の家でこの地蔵尊のお札を配っていることを耳にした。そのお札には「咳止橋地蔵大菩薩」とあり、以前ここに架かっていた「せきど橋」の名前に由来することがわかった。
今も五月五日の例祭には、法要や「振る舞い」があるとのこと。これからも地域とお地蔵さまの絆がさらに深まることを祈りたい。
※江ノ電沿線新聞2017年11月号掲載コラムをえのぽに転載しました。
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2018年6月12日