江の島の植物・ホウチャクソウホウチャクソウはイヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、江の島では龍野ヶ岡自然の森など、やや日陰になる場所で見ることができます。
江の島の植物・ホウチャクソウ
2018年4月12日 写真&文: 坪倉 兌雄
ホウチャクソウ(学名Disporum sessile)はイヌサフラン科チゴユリ属の多年草で、北海道、本州、四国、九州に分布し、林の中などの山地に自生します。江の島では裏参道の山側や海側の林の中、龍野ヶ岡自然の森など、やや日陰になる場所で見ることができます。茎の高さは30~50センチで、上部で枝分かれします。葉は互生して長楕円形、長さ5~15㌢、幅1.3~4㌢で葉脈が目立ち、先端は尖ります。花期は4~5月、茎の先端の葉腋から短い花柄を出して、長い釣鐘状の花を垂れ下がるようにし1~3個咲かせます。花被片は内側と外側に3個ずつ、合わせて6枚あり、筒状に集まって平開せず長さは2,5~3㌢、白色で先端はやや緑色を帯びます。雄しべは6本で中心に雌しべがあり、花柱の先端は3裂して反り返ります。果実は液果で球形、緑色から黒色に熟します。
ホウチャクソウは全草に臭気があり有毒成分を含み、食べると嘔吐や下痢などをひきおこします。ホウチャクソウと同じような場所に生えるナルコユリ(キジカクシ科アマドコロ属)には臭気はなく、若芽は山菜として食用にしますが、ホウチャクソウの若芽に似るので注意が必要です。花のつき方は両者で異なり、ホウチャクソウの花は分枝した枝先に1~3本下垂し、ナルコユリは1本の茎に多数の花を並べて下垂させます。和名の「宝鐸草」は、垂れ下がるようにして咲く花の様子が宝鐸(ホウチャク)に似ることによるとされています。宝鐸は仏堂や塔の四方に飾りとして吊るした大形の風鈴で、内部に舌があり振ると周囲の金属に舌が触れて音が出ます。
2018年5月8日