江の島の植物・ウラシマソウウラシマソウは多年草で、森や林下などに自生します。江の島では裏参道わきや龍野ヶ岡自然の森など、やや日陰になるような場所で見ることができます
江の島の植物・ウラシマソウ
2018年5月12日 写真&文: 坪倉 兌雄
ウラシマソウ(学名Arisaema urashima)はサトイモ科テンナンショウ属の多年草で、北海道、本州、四国、九州の一部に分布し、森や林下などに自生します。江の島では裏参道わきや龍野ヶ岡自然の森など、やや日陰になるような場所で見ることができます。3月上旬に地下の球茎から1枚(時に2枚)の葉を展開して9~15枚の小葉を鳥足状につけ、小葉は長楕円形で先端は尖ります。葉柄の長さは30~50㌢で花よりも高く、一見茎のように見えます。花期は4~5月、葉柄の基部から花茎を伸ばし濃紫色の仏炎苞に包まれた肉穂花序に花をつけますが、花には花弁はなく、雄花には雄しべ、雌花には雌しべのみで形成されます。仏炎苞の先端(舷部)は広卵形で先は尖り、開花すると垂れ下がります。内穂花序から突き出た釣り糸状の付属体は、50㌢以上にも伸びますが、これは昆虫を誘導するためのものと考えられます。
ウラシマソウは雄花から大型に成長すると雌花に変化する、いわゆる性転換することが知られています。受粉は虫媒によるもので、雄性の仏炎苞の上部から入った虫は、雄花粉を体につけて下部の隙間から脱出しますが、雌花では出口がなく動き回ることで受粉させ、そこで命を落します。受粉に成功した株は、緑色の実をトウモロコシ状につけ、秋には成熟して赤色に変わります。ウラシマソウは有毒物質を含有することから食用にはなりません。和名の「浦島草」は、内穂花序から伸びた釣り糸状の付属体を、浦島太郎(お伽草子の名)の釣り糸に見立てたものとされています。
2018年5月11日