江の島の植物・センリョウセンリョウは球状の赤い実が美しく、正月の縁起物として各地で栽培されています。センリョウは江の島では、植栽されています。
江の島の植物・センリョウ(千両)
2018年12月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
センリョウ(Sarcandra glabra)はセンリョウ科センリョウ属の常緑小低木で、わが国では南関東以西の四国、九州、沖縄の暖地の林内に自生します。冬季、茎の頂上にまとまってつく球状の赤い実が美しく、正月の縁起物として各地で栽培されています。センリョウは江の島には自生していませんが、植栽されたものを見ることができます。樹高は50~80㌢。葉は対生して薄い革質で光沢があり、長楕円形で長さは6~14㌢、幅3.5~6㌢、ふちにはあらい鋸歯があり先端は尖ります。6~7月、茎の先に2~3個の短い穂状の花序をだします。花は黄緑色で花弁や萼はなく、花軸に薄緑色の雌しべ(子房)がつき、その一端に白色の雄しべが1個つく風変わりな花をつけます。雌しべの先端に柱頭が、雄しべの側面には葯が見られます。
果実は球形で直径5~6㍉、茎の頂点にまとまってつき、晩秋には赤く熟して目立ちます。またセンリョウの変種で黄色い実をつけるものをキミノセンリョウといいます。センリョウは被子植物に分類されていますが、維管束の木部は導管ではなく裸子植物と同じ仮道管でできており、原始性を残していることから分類体系では「被子植物基底群」のグループに入れられています(参考:植物分類表.アボック社)。センリョウ科の多年草(山草)には、チャラン属のヒトリシズカ、フタリシズカ、キビヒトリシズカがよく知られています。いずれも花弁や萼片のない奇妙な花をつけますが、江の島には自生していません。
センリョウ(千両)の名前は、冬の時期に同じ赤い実をつけるヤブコウジ科のマンリョウ(万両)に対してつけられたもので、これに赤い実をつけるアカネ科のアリドオシを加えると“千両、万両、有り通し”となり、いずれも正月の縁起物に用いられてきたとされています。
センリョウ(千両)の名前は、冬の時期に同じ赤い実をつけるヤブコウジ科のマンリョウ(万両)に対してつけられたもので、これに赤い実をつけるアカネ科のアリドオシを加えると“千両、万両、有り通し”となり、いずれも正月の縁起物に用いられてきたとされています。
2018年12月10日