江の島の植物 (1)
 

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江の島の植物・樹木≪シロダモ≫

2012年11月17日
シロダモ(白だも)   Neolitsea  sericea   クスノキ科シロダモ属

シロダモは宮城・山形県以西~沖縄に分布し、江の島では裏参道沿いの藪の中や龍野ヶ岡広場などで見かけますが、潮風などの強風が直接あたる場所ではなく、スダジイ、モチノキ、タブノキなどの常緑広葉樹の下や、やや湿り気のある明るい場所にも生育しています。シロダモは常緑の低木~亜高木で、樹高は5~15㍍、樹皮は平滑で緑暗褐色。葉は革質で長さ7~17㌢の長楕円形、先は尖り基部は楔形、3脈が目立ちます。

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江の島の海側・藪の中に自生し、葉は長楕円形で革質

一見、葉は枝先に輪生しているように見えますが、互生で裏面は白色を呈しています。雌雄異株。花期は10~11月、葉腋に柄の無い散形花序をつけ、黄褐色の花がまとまって咲きます。雌花は花柱が花の外に伸び、白い柱頭が目立ちます。雄花の花糸は6本で、やはり花の外に伸びます。

121116 sirodamo-2葉は互生して枝先につき、3行脈が目立ち裏は白色

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果実は楕円形で翌年の秋に赤く熟します

名前の由来は葉の裏が白いので「白ダモ」と呼ばれていますが、ダモはタブノキのタブと同義語で、この仲間の総称とされています。シロダモの葉の裏が白いのは蝋質を分泌することによるものと考えられます。10~11月、江の島ではモチノキ、アキグミ、アオキ、クロガネモチなどが、春の開花から約半年を経たこの時期に、それぞれが赤い実をつけます。シロダモの雄木、雌木はこの時期に、葉の腋に花序をつけ黄褐色の小さな花がまとまって咲きます。雌木の花序の下の辺りには約1.5㍉の楕円形の果実が赤色に熟していました。いわゆる、昨年の今頃咲いた花から丸一年を経て、やっと果実が赤く実るので、この年の開花時期と同じになるのです。このように秋に開花し、同時に赤く熟した実をつける、エネルギッシュな樹木でもあります。果実が赤色に熟すのは鳥を呼ぶためで、鳥は果実を食糧として啄み、中の種子は糞として散布(鳥散布種子)します。このように鳥を介して種を増やしていくことができるのです。

シロダモの変種に、キミノシロダモ(f. zanthocarpa)があり、これは遺伝子の突然変異に起因するものと考えられていますが、江の島ではまだ出会ったことがありません。シロダモは庭木として植栽され、器具材にも使用されますが、かつてはシロダモの種子から油脂をしぼり、灯火や蝋燭の原料にも用いられていました。江の島でみられるクスノキ科の樹木には、シロダモの他に、タブノキ、ヤブニッケイが自生し、クスノキやハマビワ、ゲッケイジュ(地中海地方原産の帰化植物)なども植栽されており、いずれも常緑樹で芳香のある精油を含みます。また海風につよく、葉は互生し単葉・革質で全縁、小さい花がまとまってつき、果実は液果です。クスノキ科の樹木には落葉樹もあり、内陸部の山地に生えるクロモジ、ヤマコウバシ、ダンコウバイ、アブラチャン、シロモジなどがよく知られていますが、江の島には自生していません。
【写真&文:坪倉 兌雄】

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