江の島の植物・野草《ヒヨドリ上戸》
2013年9月10日 (写真&文:坪倉 兌雄)

ヒヨドリジョウゴは各地の山地や道端などに生える多年草で、江の島では参道わきや海辺、龍野ヶ岡自然の森などで観察できます。ヒヨドリジョウゴの可愛らしい花、艶のある赤い実は美しく、人目を引きます。和名はヒヨドリがこの実を好んで食べることによるとされていますが、ヒヨドリや他の野鳥がこの実を啄んでいるところを、残念ながら私自身まだ目にしたことはありません。
ヒヨドリジョウゴと同じナス属の仲間に、ワルナスビやアメリカイヌホウズキ(北アメリカ原産の帰化植物)、イヌホオズキ(史前帰化植物)などがあり、これらは江の島の道端や草むらなどに生育しています。
ヒヨドリジョウゴと同じナス属の仲間に、ワルナスビやアメリカイヌホウズキ(北アメリカ原産の帰化植物)、イヌホオズキ(史前帰化植物)などがあり、これらは江の島の道端や草むらなどに生育しています。
いずれもヒヨドリジョウゴと同じで、全草に猛毒のソラニン(solanine)を含みます。ワルナスビの実は橙黄色、アメリカイヌホウズキは艶のある黒色、イヌホウズキは艶の無い黒色に、それぞれ熟します。



ワルナスビ(鋭い刺をもつ) アメリカイヌホウズキ イヌホウズキ
ヒヨドリジョウゴの茎は細長いつる状で、長い葉柄で他の植物などに巻きつきながら伸長して2~4㍍になります。葉は長卵形で変化に富み、上部は全縁で、下部の葉は深く裂け、茎や葉には柔らかい毛が密生します。8~10月、葉と対生した位置にふたまた状に枝分かれし、まばらな集散花序をつけます。花冠は白色で約1㌢、雄蕊は花柱をとり巻き、5個の花弁が反り返って、合わさった葯(やく)が露出して目立ち、その中央から1本の雌蕊が飛び出しています。果実は球形でおよそ8㍉、液果で赤く熟し、一見美味しそうに見えますが、ソラニンを含むので食べられません。ソラニンとは、ジャガイモなどナス科植物の芽などに多く含まれるステロイドアルカロイド配糖体で猛毒です。全草にこの有毒成分を含みますが、民間療法では薬草として解熱、利尿などに用いられています。しかし多量の服用は禁物です。
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2019年3月10日
