江の島の植物 (1)
 

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江の島の植物・常緑蔓性《サネカズラ》

2014年1月 21日  (写真&文:坪倉 兌雄)

140121 sanekazura-1江の島の龍野ヶ岡に生育するサネカズラ(25,10,29)

サネカズラ(実葛・美男葛)
Kadsura japonica 
モクレン科サネカズラ属

 サネカズラは常緑蔓性木本で、本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄に分布し、江の島では海辺の藪の中や龍野ヶ岡などにみられ、地面を匍匐、または灌木に覆いかぶさるようにして生育します。葉は長楕円形~長卵形で互生し柔らかく、長さは5~12㌢で厚く光沢があり,ふちには低鋸歯があります。雌雄異株または同株で、まれに両性花がつきます。

花期は8月頃、葉腋に1.5㌢の花を下向きに開き、花弁と萼片はともに淡黄色を呈し、雌花は中心に緑色の雌しべを球状につけ、雄花の雄しべは紅色で球状に固まってつき目立ちます。雌花は花のあと花床が膨らみ、10月末頃には紅色の美しい球状の液果を多数つけます。この艶のある葉と光沢のある赤い実(集合果)を観賞するために庭木として生垣などに絡ませて栽培されます。
140121 sanekazura-2サネカズラの雌花の蕾
140121 sanekazura-3サネカズラの雄花

140121 sanekazura-4サネカズラ8月中旬
140121 sanekazura-59月中旬
140121 sanekazura-610月下旬
名前の由来は、赤い実が目立つ葛で「実(サネ)葛(カズラ)」に、また別名の「美男(ビナン)葛(カズラ)」は樹皮を剥いで水に浸して樹液を出し、この液を昔の武士などが整髪に用いたことによるものとされています。属名のkadsuraは、日本語で用いられているつる植物のカズラ(葛・蔓)に由来します。熟した果実を乾燥させたものを生薬の南五味子(なんごみし)といい、かぜの咳止めや滋養、強壮薬として用います。かつてはサネカズラの茎の粘液を、製紙用や鬢付油の材料などにも用いられました。
サネカズラは「さなかずら」とも呼ばれ万葉集に9首詠まれていますが、柿本人麻呂の詠んだ歌一首をここに紹介します。     
         さねかずら 後も逢はむと 夢のみに うけひ渡りて 年は経につつ          万葉集巻第十一  2479
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2019年3月22日