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江の島の植物・野草≪タンポポ≫

2012年4月21日
タンポポ(蒲公英)   Taraxacum キク科タンポポ属
タンポポは道端や野に普通に生える多年草で、地域によって若干の変異が見られることから、エゾタンポポ、カントウタンポポ、トウカイタンポポ(ヒロハタンポポ)、カンサイタンポポ、など地域名を冠したものが多く、高山帯にはクモマタンポポ、タカネタンポポ、ミヤマタンポポ、シロウマタンポポなどがあり、その数は20種類以上に及びます。明治初期に帰化したとされるセイヨウタンポポは、各地にその分布を広げていますが、江の島も例外ではなく島内の至る所に生え、冬季の一時期を除いてほぼ通年で観察することが出来ます。
120421tanpopo-1カントウタンポポの総苞外片は立っています


120421tanpopo 2江の島の北緑地に咲くタンポポ

これに対して在来種のカントウタンポポは、奥津宮境内付近などのほんの限られた場所でのみ見られ、開花の時期が
3~5月と短く、種の数も少ないことなどから見逃してしまいがちです。 これは両者の繁殖法の違いによるものと考えられています。カントウタンポポを含む在来種の大部分は有性生殖によって子孫を残しますが、その結実には昆虫等による花粉媒介を必要とします。カントウタンポポは自家不和合性が強くて自家受精はしません。また土地の変化を嫌い、造成地などには生育しないデリケートなところもあります。一方、外来種のセイヨウタンポポは受粉を伴わない単為生殖で子孫を増やし、造成地や痩せ地、乾燥した場所にも生え、四季の変化にも適応して生育することが出来ます。両者の簡単な見分け方として、カントウタンポポの総苞外片は立っていますが、セイヨウタンポポの総苞外片は反り返ります。これが外観上の見分け方とされてきましたが、最近では両者の雑種も存在するとの報告もあり、同定においてはさらなる検討が必要と考えられます。

たとえ原産地や繁殖法の違い、また雑種であったとしても、いずれのタンポポも美しい黄色の花を開き、私たちの目を楽しませてくれます。西日本でよく見られる白い頭花を付けるシロバナタンポポは、セイヨウタンポポと同じように単為生殖で繁殖します。また総苞外片は上部で開出して小角突起が目立ちます。タンポポの語源は、葉が古くから食材とされていたことから、田菜~田の穂々からタンポポに転訛したとする説、タンポ槍の穂先に似ることによるとする説、茎の両端を細かく裂き水に漬けると鼓に似るので、その擬音語「たん・ぽん」説、などがありますが、何れにせよタンポポの呼び名の響きは、明るく軽やかで心も和みます。
120421tanpopo-3セイヨウタンポポの総苞外片は反り返る

120421tanpopo-4
綿毛を付けた種子は風に乗り新天地へ

江の島に生育するタンポポは、カントウタンポポとセイヨウタンポポですが、前者の葉は倒披針形で羽状に深裂し、後者の葉は羽状深裂から深い鋸歯まで変化があります。何れも黄色い花をつけますが、頭花は小花(舌状花)が沢山集まったもので、個々の小花には雄蕊、雌蕊があります。花は開いて夕方に閉じ、花が枯れる頃にはいったん花茎を地面に倒して数日間、種子が熟すと茎は再び立ち上がり、綿毛を付けた種子(痩果)は風に乗って新天地へと旅立ちます。種子が着地して条件が整えば約1週間で発芽し、根性葉をロゼット状に出して次の開花に備えます。タンポポの若芽や花、根は食用になります。乾燥した全草を生薬では蒲公英(ほこうえい)といい、健胃、解熱、泌乳剤などに用います。

 【写真&文:坪倉 兌雄】

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