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江の島の植物・樹木≪ハマゴウ≫

2012年8月11日
ハマゴウ(蔓荊)Vitex rotundifolia クマツヅラ科ハマゴウ属
ハマゴウは本州、四国、九州に分布するクマツヅラ科の落葉小低木で、比較的暖かくて日当たりのよい海岸の砂地などに自生しています。江の島では北緑地の一角で見ることができます。7月頃、湘南の海開きとほぼ同じ頃に開花し、青紫色の美しい唇形花(しんけいか)を多数つけます。海に面したこの一角は、台風などの強風や高潮など、海水の浸入や飛沫を受ける場所ですが、ハマゴウはしっかりと地下に根を下ろし、これらの環境にも耐えることが出来る強い生命力をもっています。名前の由来は蔓性で浜を這う様子から“浜這”がハマホウそしてハマゴウに、また枝や葉に芳香があり、かつて香として用いられたことから“浜香”がハマゴウになったとの説もあります。乾燥させた果実は生薬で蔓荊子(まんけいし)といい、解熱、消炎、滋養強壮などに用いられます。
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ハマゴウの雄蕊、雌蕊は花冠からつきでます

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枝先に円錐花序をだして青紫色の花をつけます
ハマゴウの茎は長く砂の上をはって伸びますが、江の島の北緑地の一角は砂浜ではなく埋立地であるために、ハマゴウは低木状になり上向きに伸びています。茎は立ち上がり高さ30~80㌢、枝は四角形です。葉は対生して長さ2~5㌢の楕円形または倒卵状円形、ふちは全縁、裏面には灰白色の軟毛が密生します。7~9月、枝先に円錐花序をだし、芳香のある青紫色の美しい花を多数つけます。花冠は長さ約1,5㌢で、先は唇状になり、下弁は3裂して中央の裂片は大きくなります。雄蕊は4個、雌蕊は1個、いずれも花冠から突き出ています(写真)。果実は直径5~7㍉の球形で、下部は宿存する萼に包まれます。コルク質の果皮に覆われて果実は海水に浮きやすく、海流にのって他の海岸へ漂着し、そこで発芽して分布を広げるものと考えられます。
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枝は四角形、果実は球形で淡黒色に熟します

ハマゴウの枝は四角形で、枝や葉に芳香があり、シソ科の植物と同じような特徴をもっています。江の島に自生するハマゴウと同じクマツヅラ科の樹木にムラサキシキブ(ムラサキシキブ属)やクサギ(クサギ属)がありますが、いずれも葉は対生し、それぞれが独特の芳香または臭いをもっています。これらはエングラーの分類体系ではクマツヅラ科に属しますが、DNA解析によるAPG(Angiosperm Phylogeny Group)分類体系によると、いずれもシソ科に分類されています。
ハマゴウによく似た名前の植物に、同じ暖地の海辺に生えるアオイ科の落葉低木ハマボウ(黄槿)があります。異なる樹木なので、間違わないようにしましょう。ハマボウはよく枝分かれして幹高は3㍍に達し、初夏、葉腋に黄色で中央が紅紫色のムクゲに似た花(1日花)を開き、花後に球形の蒴果を結びます。
【写真&文:坪倉 兌雄】

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