江の島の植物・ミツバミツバは古くから野菜や薬用として栽培され、江の島では龍野ヶ岡自然の森や参道わきのやや湿った場所などで見ることができます。
江の島の植物・ミツバ
2019年4月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
ミツバ(三つ葉)Cryptotaenia Japonicaはセリ科ミツバ属の多年草で、わが国では北海道、本州、四国、九州の各地の山野に自生しますが、古くから野菜として栽培され、薬用にも利用されてきました。江の島では龍野ヶ岡自然の森や参道わきのやや湿った場所などで見ることができます。茎は直立して分枝し高さは30~50㌢になりますが、定期的に刈り取り清掃が行われる江の島の広場などに群生する野生のミツバは15~30㌢です。葉は3出複葉で互生し、葉柄は長く小葉は2~10㌢の卵形で重鋸歯があり先端は尖ります。葉の表面にはしわが目立ちますが、葉裏は白っぽくてやや光沢があります。花期は6~7月、茎の先から複散花序をだし、白色の小さな5弁花を開きます。果実は2分果で長さ約5㍉の長楕円形、それぞれに種子が1個入ります。
亀ヶ岡広場の一角にもミツバの群生が見られましたが、昨年(平成18年)の10月に訪れたときにはきれいに整地されて芝生に植え替えられていました。ミツバの名は葉が三つあることに由来し、古くから食用にされてきましたが、野菜としての栽培は江戸時代から始まったとされています。全草に香気があり煮物やおひたし、あえ物、サラダなど、いろいろな料理に用いられており栄養価に富み、各種のビタミンやミネラルなどを豊富に含むとされています。島内には各種のセリ科の植物が生育しており、散策しながら身近に観察することができます。セリ、アシタバ、ボタンボウフウは食用になりますが、同じセリ科でもヤブジラミ、ヤブニンジン、チドメグサ、ハマウドなどは食用になりません。
2019年4月10日