広重たちの情景 初代・二代・三代―江戸から明治へ―(前期)
2019年5月3日(取材・記事:Tanbakko)
藤澤浮世絵館で「広重たちの情景 初代・二代・三代―江戸から明治へ―」が始まりました。前期と後期に分けて展示され、6月2日までが前期、6月4日から後期の展示となります。企画展示コーナーはもちろんのこと、東海道五十三次コーナー、藤沢宿コーナー、江の島コーナーの全てに初代・二代・三代の広重作品が展示されています。まさに全館が「広重づくし」の展示となっています。

初代歌川広重(1797年~1858年)は、「東海道五十三次」シリーズや「名所江戸百景」などの風景画(名所絵)で人気を博し、浮世絵風景画を確立した絵師と言われています。二代広重(1826年~1869年)は、初代の弟子で横浜移住後は「横浜絵」を多く手がけました。三代広重(1842年~1894年)も初代の弟子で、やはり「横浜絵」を多く手がけています。二代広重と三代広重は兄弟弟子でもあります。
今回の展示作品の概要ですが、東海道五十三次コーナーは、初代歌川広重の通称「狂歌入り東海道」のうちの、府中から藤川までの19作品が展示されています。
藤沢宿コーナーは、二代歌川広重作の「江戸名所四十八景」全作品が展示されています。
そして、江の島コーナーは「広重たちの描いた江の島」です。ここの展示では、三代歌川広重が明治期に描いた「日本六拾二州地誌略図」が日本地図とともに展示されているのが目につきます。日本地図には今回展示されている12の作品の場所と後期に展示される12の作品の場所が表示されています。



企画展示コーナーは、「広重たちの情景 初代・二代・三代―江戸から明治へ―」と題して、3人の描く浮世絵作品が展示されています。初代歌川広重の作品を原画とした「ちりめん絵」が展示されているのも見どころの一つです。

「学芸員による見どころ解説」では、三代にわたる広重の風景画を比較させながら、初代から三代にかけて継承されてきたものや、変化してきたものを解説していただきました。

初代広重の画法は、遠近法・高い位置から見た鳥瞰的な構図等のダイナミズムや、市井の暮らしを織り込むなどの工夫がこらされています。二代、三代は初代の画風を受けつぎながら、江戸から明治への転換期に活躍しました。人力車、電線、洋装の人物などの新しい風俗を巧みに取り入れて描いています。江戸から明治へと三代にわたり受けつがれてきた浮世絵風景画の中に、似ているところと変化してきたもの、そしてそれぞれの個性を感じとっていただければ幸いとの学芸員のお話しでした。(※画像は見どころ解説の画像より引用。)

●学芸員による見どころ解説が5月12日(日)と6月23日(日)に行われます。
6月23日は後期展示の見どころが解説されます。
・日にち:2019年5月12日(日)/6月23日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ 2回開催(各回30分程度)
・会 場:藤澤浮世絵館
・定 員:各回40名(当日先着順) ※申込不要・参加費無料
6月23日は後期展示の見どころが解説されます。
・日にち:2019年5月12日(日)/6月23日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ 2回開催(各回30分程度)
・会 場:藤澤浮世絵館
・定 員:各回40名(当日先着順) ※申込不要・参加費無料
●6月3日(月)に展示替えがあり、6月4日(火)から後期の展示が始まります。
画像はその一例です(※見どころ解説の画像より引用)。

なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。あわせてご覧ください。
http://fujisawa-ukiyoekan.net/collections/top.html
※浮世絵の画像は学芸員による見どころ解説での画像を撮影して掲載しました。不鮮明なところがありますが、ご容赦願います。実物は是非藤澤浮世絵館でご覧ください。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。
2019年5月1日
