『下向き地蔵』厚木市 七沢
2019年5月10日 ((記事:江ノ電新聞5月号))
『下向き地蔵』厚木市 七沢 中島淳一
『下向き地蔵』厚木市 七沢
今回のお地蔵さまと出会うには、バス時刻表の下調べが必須である。本厚木駅近くの厚木バスセンターから広沢寺(こうたくじ)温泉行のバスに乗る。ただし一日数本のみ。または広沢寺温泉入口のバス停から約二十五分坂道を歩くのだが、近くにハイカー用の広い駐車場もある。バス停の名が示すとおりここは旅館もある温泉地で、廣澤寺という曹洞宗の古刹も鎮座する。そこを流れる大沢川の二の橋の袂に「下向き地蔵」が祀られる。
昔七沢(ななさわ)に石切り場があり、一人の石工が親方から地蔵尊を造るように言われ、出来上がる直前に鼻を欠いてしまった。そこで再び造ったところ、今度は謝るように下を向いたお姿となった。親方はこれを見て「高い台の上にのせればお参りの人々に優しく語っているように見えるから」と高い台石を造らせ地蔵尊を祀った。そのうち誰言うとなく「下向き地蔵」の名がついたという。
江戸中期の作で右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、伝承通り四角い台石の上から優しい笑顔で人々に語りかけている。
この地蔵尊を造った石工は信州の桜の名所高遠(たかとお)出身と伝わる。私が初めてこのお地蔵さまに出会った時も近くの桜が満開だった。きっとその石工も故郷の桜を思いつつ「ひた向き」に鑿(のみ)をふるったのであろう。
昔七沢(ななさわ)に石切り場があり、一人の石工が親方から地蔵尊を造るように言われ、出来上がる直前に鼻を欠いてしまった。そこで再び造ったところ、今度は謝るように下を向いたお姿となった。親方はこれを見て「高い台の上にのせればお参りの人々に優しく語っているように見えるから」と高い台石を造らせ地蔵尊を祀った。そのうち誰言うとなく「下向き地蔵」の名がついたという。
江戸中期の作で右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、伝承通り四角い台石の上から優しい笑顔で人々に語りかけている。
この地蔵尊を造った石工は信州の桜の名所高遠(たかとお)出身と伝わる。私が初めてこのお地蔵さまに出会った時も近くの桜が満開だった。きっとその石工も故郷の桜を思いつつ「ひた向き」に鑿(のみ)をふるったのであろう。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2019年5月08日