江の島の植物ママコノシリヌグイママコノシリヌグイ(継子の尻ぬぐい)は、江の島では参道わきのやや湿った場所や、西側の海辺にその群生を見ることができます。
江の島の植物・ママコノシリヌグイ
2019年7月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
ママコノシリヌグイ(継子の尻ぬぐい)Polygonum sentivosumはタデ科タデ属の1年草で、日本全土に分布します。江の島では参道わきのやや湿った場所や、西側の海辺にその群生を見ることができます。茎は蔓状でよく枝を分け、下向きの鋭い刺(逆刺)を多数つけ、この棘でまわりのものにからみながらつるをのばして繁茂します。茎の色は青から褐色に、長さは1~2メートルに及びます。葉はほぼ三角形で長さは3~8㌢、基部は心形となり、裏面の脈上にも刺があります。葉柄には長い刺があり、托葉は腎円形で茎を抱きます。花期は5~10月、4~5㍉小さな花が枝先へ数個つき、雌しべ1個、雄しべは8個で花弁はなく、萼(花被)は5深裂して紅色から淡紅色を帯び、やや大きくなって果実を包みます。果実の上端はやや尖り、長さは約4㍉で黒色に熟します。
かつて紙が貴重であった時代、フキなどの植物の葉が厠の落とし紙に使われていました。和名の由来は、そんな時代に継母が実子でない子(継子)をいじめるために、刺のある葉を厠に置いたのではと、想像しながらつけられたものと考えられています。ママコノシリヌグイと同じタデ科の植物には、つる状の茎をもつミゾソバ、ツルソバ、イシミカワなどの野草があり、その草姿がいずれも似ています。しかし葉形にはぞれぞれの特徴があり、その違いによって見分けることができます。湿地に生えるミゾソバの葉形は「はこ形」に、暖地の海岸に生えるツルソバは「卵形または卵状長楕円形」、イシミカワの葉は「緑白色の三角形」で表面が白色の粉を吹いたように見えます。
2019年7月10日