浮世絵双六と七福神藤澤浮世絵館で展示中の「浮世絵双六と七福神」について、その見どころを紹介します。
藤澤浮世絵館展示「浮世絵双六と七福神」
2019年12月16日(取材・記事:Tanbakko)
藤澤浮世絵館では現在「浮世絵双六と七福神」が展示されています。企画展示コーナーでは「浮世絵双六」を、江の島コーナーでは「浮世絵七福神」をそれぞれ展示しています。また、藤沢宿コーナーでは「新版画」の作品が、東海道五十三次コーナーでは前回に引き続き「国貞の美人東海道」19点が展示されています。
今回の展示テーマは「浮世絵双六と七福神」。企画展示コーナーで「浮世絵双六」を、江の島コーナーで「浮世絵七福神」を展示しています。
企画展示コーナーから逆回りで、それぞれの展示の見どころを紹介します。
◆企画展示コーナー「江戸の楽しみ 浮世絵双六」
企画展示コーナーは「江戸の楽しみ 浮世絵双六」と題してさまざまな浮世絵に描かれた双六を展示しています。
企画展示コーナーは「江戸の楽しみ 浮世絵双六」と題してさまざまな浮世絵に描かれた双六を展示しています。
双六の起源は5~6世紀にさかのぼるといわれていますが、江戸時代に入ると印刷技術が発達し浮世絵双六が誕生しました。江戸庶民は「浮世絵双六」でお正月に家族そろって楽しみました。
企画展示コーナーでは「江戸の楽しみ 浮世絵双六」と題してさまざまな浮世絵に描かれた双六が展示されています。
浮世絵双六は、遊ぶだけでなく鑑賞用にも用いられました。特に流行ったのが「道中双六」です。展示作品の中から代表的な作品を2点紹介します。(※画像はいずれも浮世絵館だよりVol.10<2019年11月>に掲載されていたものをスキャンして掲載しています。)
歌川広重の「参宮上京道中一覧双六(安政4年<1857年>)」です。東海道に加えて伊勢神宮の道中も付け加えられています。(※浮世絵館だよりVol.10より引用しました。)
奈良沢兼蔵「東海道汽車進行双六(明治35年<1902年>)です。ふりだしは神戸、宿場を駅名に変えて、大磯=海水浴、横浜=中華街など、当時の時代背景が取り入れられています。(※浮世絵館だよりVol.10より引用しました。)
消しゴム版画風に描かれた「小田急ハイキング双六」が展示されているのも見どころの一つです。
また、企画展示コーナーと江の島コーナーとの間に、喜多川歌麿の「見立七福神舟遊び」や歌川芳員の「蚕いとなみの図」などが展示されているのも見逃せません。(※画像はいずれも浮世絵館だよりVol.10<2019年11月>に掲載されていたものをスキャンして掲載しています。)
喜多川歌麿の「見立七福神舟遊び」。船に9人乗っていますが大人の6人の女性と1人の男性を七福神になぞらえています。(※浮世絵館だよりVol.10より引用しました。)
歌川芳員の「蚕いとなみの図」。作業する人々に交じって七福神が働いているという作品です。(※浮世絵館だよりVol.10より引用しました。)
◆江の島コーナー「浮世絵七福神大集合」
江の島コーナーは「浮世絵七福神大集合」と題して、さまざまな描かれ方をした七福神の作品を紹介しています。
江の島コーナーは「浮世絵七福神大集合」と題して、さまざまな描かれ方をした七福神の作品を紹介しています。
幕末期の人気絵師の一人である歌川国芳が、七福神をそれぞれ女性に見立てて描いた作品や、美人画で有名な歌川国貞(三代豊国)の作品などが展示されています。国貞の作品には俳句と詞書が添えられていて、それぞれの福神のイメージを見たてているのも見どころの一つです。
歌川国芳の「七婦久人」シリーズや歌川国貞(三代豊国)の「誹諧七福人」などの作品が展示されています。
◆藤沢宿コーナー「新版画に描かれた名所」
明治も30年頃になるとそれまでの伝統的な浮世絵版画は衰退していきますが、一方では次の時代の木版画を作る動きも始まります。それが大正から昭和初期に花開く「新版画」です。伝統的な浮世絵版画の技法で、絵師・彫師・摺師の三者が一体となって新しい作風を目指しました。一方、自分で絵を描き彫って摺る「創作版画」も登場しました。
明治も30年頃になるとそれまでの伝統的な浮世絵版画は衰退していきますが、一方では次の時代の木版画を作る動きも始まります。それが大正から昭和初期に花開く「新版画」です。伝統的な浮世絵版画の技法で、絵師・彫師・摺師の三者が一体となって新しい作風を目指しました。一方、自分で絵を描き彫って摺る「創作版画」も登場しました。
今回の展示では、「新版画」の代表的な画家である川瀬巴水、土屋光逸、吉田博などの作品や、山岸主計、関野準一郎など「創作版画」の作品を展示しています。
藤沢宿コーナーは「新版画」や「創作版画」で描かれた各地の名所の作品を展示しています。
◆東海道五十三次コーナー「国貞の美人東海道」
東海道五十三次コーナーは前回に引き続き「国貞の美人東海道」19点を展示しています。背景に東海道五十三次の宿場風景、手前に美人の姿が各地の関連した風俗で描かれています。背景の景色は、歌川広重の代表作「保永堂版東海道」を基にしているのが特徴です。
東海道五十三次コーナーは前回に引き続き「国貞の美人東海道」19点を展示しています。背景に東海道五十三次の宿場風景、手前に美人の姿が各地の関連した風俗で描かれています。背景の景色は、歌川広重の代表作「保永堂版東海道」を基にしているのが特徴です。
学芸員のお話によると、それぞれの女性はある意味を込めて描かれていますが、どのような意味が込められているのかを展示作品の解説を読みながら絵解きをしていくのも、浮世絵鑑賞の楽しみ方の一つであるとのことです。
「国貞の美人東海道」から「江尻」~「赤坂」までの19点が展示されています。
◆学芸員による見どころ解説が2020年2月2日(日)に行われます。
・日にち:2020年2月2日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ 2回開催(各回30分程度)
・会 場:藤澤浮世絵館
・定 員:各回40名(当日先着順) ※申込不要・参加費無料
・日にち:2020年2月2日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ 2回開催(各回30分程度)
・会 場:藤澤浮世絵館
・定 員:各回40名(当日先着順) ※申込不要・参加費無料
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。あわせてご覧ください。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2019年12月16日