富士山特集2020年では、浮世絵に描かれた富士山と江の島、湘南からの富士山、湘南の海からの景観など紹介します。
↓各バナークリックでシート移動します。
世界に誇る美しい山 富士山は2013年「世界文化遺産」に登録されました。富士山は日本人にとって「こころのふるさと」であり、ここ湘南の地からもいつ見ても感銘を受けます。特集「2020年湘南の富士山」では浮世絵画家の描いた江の島と富士山や湘南の海からの光景などいくつかを紹介します。
浮世絵に描かれた「江の島・富士山」
浮世絵に江の島と富士山は数多く描かれています。藤沢市藤澤浮世絵館で展示された「浮世絵に見る波・風・帆」の作品の中から、江の島と富士山を描いた作品をいくつか紹介します。浮世絵の名手により描かれた、様々な「江の島と富士山」の姿をお楽しみ下さい。
また浮世絵師たちが当時筆をふるったと思われる場所の現在の風景を重ね併せ、絵師たちの目に映っていた光景に思いを巡らせてみました。
浮世絵に江の島と富士山は数多く描かれています。藤沢市藤澤浮世絵館で展示された「浮世絵に見る波・風・帆」の作品の中から、江の島と富士山を描いた作品をいくつか紹介します。浮世絵の名手により描かれた、様々な「江の島と富士山」の姿をお楽しみ下さい。
また浮世絵師たちが当時筆をふるったと思われる場所の現在の風景を重ね併せ、絵師たちの目に映っていた光景に思いを巡らせてみました。
冨嶽三十六景 相州江の嶌 作者:葛飾 北斎
七里ヶ浜のほぼ中央にある行合橋から眺める江の島と富士
「冨嶽三十六景」は北斎最大の傑作のシリーズもので、最初に刊行された36枚は「表」といわれ、のち好評のため続刊された10枚は「裏」と呼ばれ、全部で46枚が発行されています。 富士を描いた46種類の作品は、それぞれに共通する技法によって幾つかに分類することが出来ますが、大きく分けると伝統的な日本画の影響の強いもの、中国の漢画的な要素のあるもの、さらに遠近法を取り入れた洋画的表現など三つに分けられます。 この図はそうしたもののうち漢画的な要素のまさったもので、その黄緑色の淡い色調は「相州箱根湖水」のそれを連想させます。そして一見地続きのように見え、他の絵師の表現と較べて、平坦な江の島は山水画を思わせます。
不二三十六景 相模七里が浜風波 作者:歌川 広重
広重同様に多少視点を低くげて浪の高さを強調した風景
「七里ヶ浜から遠景に江の島と富士山を描いた作品です。波高く風吹き荒れる七里ガ浜から波間に見え隠れする、小動(こゆるぎ)と江の島とに挟まれて見える白い雪化粧の富士が描かれています。波高く泡立つ海と対称的に静的な富士、上空はほんのりと紅色に染まり鳥の群れが飛んでいます。七里ガ浜も稲村ガ崎あたりから見た風景でしょうか、広重の視点はあくまでも低く浪の高さを強調しています。
江のしま 作者:二代 勝川 春好
右側に小動岬の岩肌も見えながら遠方に江の島の見える風景
七里ヶ浜から遠景に江の島と富士山を描いた作品です。江の島や右手に見える岩肌に、奇妙な立体表現がなされている点が特徴的な作品です。前景の波の大きさには極端な誇張が見られ、これらには西洋絵画からの影響が指摘されています。 作者の二代勝川春好は当初「春扇」を名乗った絵師でしたが、このような立体感のある風景作品は春好への改名時に多く見られます。
相州江之島ノ風景腰越ノ方ヨリ見図 作者:勝川 春章
干潮で海底が現れ陸続きとなり人々が歩いて往来している。江ノ島のトンボロの日の光景。
春章としては珍しい風景画で、浮世(うきえ)という遠近法を使用しています。江の島を中国の神仙(しんせん)思想にある蓬来(ほうらい)島に模しており、右手に富士、上部には雲が朱で描かれて日の出を暗示し、いわゆるお目出たい作品となっています。
相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図 作者:歌川 広重
藤沢市民会館大ホールのステージの大緞帳に描かれている同群衆之図
江戸後期になると江の島は江戸に近い手頃な行楽地として、弁財天信仰と合わせて人気を集め、江戸の人々の間で講中(こうじゅう)を組んで参詣することが盛んになり、特に6年に一度の開帳の時は多数の参詣人で賑ったといわれます。 江の島参詣に向う4組の女講中を揃いの日傘(ひがさ)で描き分けています。まず中央の列の先頭は三本の杵(きね)の江戸長唄(ながうた)杵屋(きねや)、それに続く菱に三つ柏は清元(きよもと)節、その左は角木瓜(もっこう)の常磐津(ときわづ)節、画面右の桜草の紋の一群は富本節の人々と考えられます。いずれも音曲(おんぎょく)の連中の、粋で艶やかな行列です。
〇「浮世絵に見る波・風・帆」は藤沢市藤澤浮世絵館で 2019年11月2日(土)~11月24日(日)で開催されました。 今回紹介の浮世絵はいずれも、藤沢市藤澤浮世絵館所蔵の作品です。なお各作品の説明は、藤澤浮世絵館の展示作品解説から抜粋しています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2020年02月01日