それでは、企画展示コーナーに展示されている浮世絵のいくつかを紹介していきましょう。

「後三年合戦絵巻」の写本

絵巻のなかの部分図

企画展示コーナーの入り口のところに「後三年合戦絵巻」の写本が展示されています。永保3年（1083年）に東北地方の豪族・清原氏の内紛に端を発した「後三年の役」は、奥州に勢力を拡大しようとした源義家が、相模・武蔵両国の武士団を率いて闘ったことでも有名です。結果として奥州藤原氏の台頭の契機となった戦乱でした。

勝川春亭の「石橋山合戦」（※「浮世絵館だより 2020年2月 Vol.11」より転載しました。）

歌川国芳の「時世石ばし山　頼朝ふし木かくれの図」（※「浮世絵館だより 2020年2月 Vol.11」より転載しました。）

大庭城発掘調査で出土した「かわらけ」が展示されています。

大庭城発掘調査の経緯がパネル展示されています。

常設コーナーでは、江の島コーナーの「民衆の絵画　泥絵の世界」が見どころです。「泥絵」とは、泥絵具という精製度の低い顔料に胡粉（貝殻から作られる白色の顔料）を混ぜた絵具で描かれたものです。「民衆の絵画」とも言われていて江戸中期から明治初期にかけて土産品として流行しました。舶来の覗き眼鏡を通して楽しむ「眼鏡絵」や、覗き眼鏡で楽しむために左右逆さまに描かれた作品もあります。

江の島コーナーでは泥絵や覗き眼鏡などが展示されています。

学芸員による見どころ解説（この画像は2月22日に開催されたときのものです）

なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ（下記）では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。あわせてご覧ください。