江の島の植物・モッコクモッコク(木斛)は常緑高木で、江の島では龍野ヶ岡自然の森や神社境内などで見ることができます。
江の島の植物・モッコク
2020年06月11日 写真&文: 坪倉 兌雄
モッコク(木斛) Ternstroemia gymnantheraはツバキ科モッコク属の常緑高木で、千葉県以西から四国、九州、沖縄の海岸に近い山地に生え、江の島では龍野ヶ岡自然の森や神社境内などで見ることができます。樹高は5~10㍍に、直立して樹皮は暗灰色でなめらか、ゴマ粒状の皮目があります。葉は互生して枝先に集まり、厚い革質で全縁、光沢があります。長さは3~6㌢の狭倒卵形で幅は1.3~2.5㌢。葉柄ははくさび形で長さはおよそ4㍉に、軸の部分はしばしば紅色を帯びます。モッコクには雄しべと雌しべをもつ両性花と、雌しべは退化して雄花のみを開く株があります。6~7月、葉腋に直径2㌢ぐらいの黄白色の花を下向きに開きます。花柄はおよそ2㌢、花弁は5個で平開します。両性花は雌しべの柱頭(中央)が飛び出して、その基部を黄色い雄しべが取り囲みます。子房は卵球形で、花柱は短く柱頭は2裂して先はそり返ります。
萼片は5個で色は花弁とほぼ同じです。雄花の雌しべは退化して小さく、黄色い雄しべが目立ちます。この雄株には実はつきません。両性花には球形の果実(さく果)がつき、長さは1.5㌢、熟すと厚い果皮が裂けて中から赤い種子をだします。種子は倒卵形で長さはおよそ7㍉、赤色でよく目立ちます。モッコクは公園樹や庭木などに用いられていますが、材が堅く寄木細工などの器具材や櫛、床柱、薪炭などに用いられ、樹皮にはタンニンが多く、褐色染料をとるのにも用いられてきました。
和名の由来は、花が放つ芳香がラン科の常緑多年草セッコク(石斛)の花の淡い芳香に似ることから、これに対して「木斛」と呼ばれるようにになった、などの説があります。また種子が赤く目立つことから、アカミノキ(赤実の木)とも呼ばれています。
和名の由来は、花が放つ芳香がラン科の常緑多年草セッコク(石斛)の花の淡い芳香に似ることから、これに対して「木斛」と呼ばれるようにになった、などの説があります。また種子が赤く目立つことから、アカミノキ(赤実の木)とも呼ばれています。
2020年06月11日