江の島の植物・ハマコンギクハマコンギクは三浦半島や江の島、伊豆半島の海岸近くに生えるキク科シオン属の多年草です。
江の島の植物・ハマコンギク
2020年08月24日 写真&文: 坪倉 兌雄
ハマコンギクAster ageratoides subsp. Ovatus var. littoricolaは、神奈川県の三浦半島や江の島、静岡県の伊豆半島の海岸近くに生えるキク科シオン属の多年草で、ノコンギクの変種として江の島で発見されました。江の島の西側海辺の草むらの中や、参道わきなどで見ることができます。茎は叢生して分枝し、長さは50~90㌢になり短毛が密生します。茎葉は卵形~長楕円形で長さは5~1㌢、幅は2~5㌢、縁に鋸歯がある葉とない葉が混在します。ノコンギクによく似ていますが、葉の質はノコンギクの葉より厚くて鈍頭、表面に光沢があります。花期は8月下旬から12月の上旬、頭花は散房状につき、蕾は淡紫色を呈します。花は筒状花と舌状花からなり、花弁は15~20枚で花径は2~2.7㌢に、花は淡青紫色または白色で、総苞は緑色で短毛があります。
果実は痩果、冠毛は約5㍉で風を受けて種子の散布の用をなします。ハマコンギクは植物学者の北村四郎(1906~2002)が江の島で発見した日本固有種で、別名をエノシマヨメナ(江の島嫁菜)とも呼ばれています。海辺の植物の特徴で葉質が厚く、葉は卵形で表面に光沢があります。根出葉などの若葉は、ヨメナやノコンギクと同じで食用になります。名前は海岸近くに生えるノコンギク(野紺菊)の変種で「ハマコンギク(浜紺菊)」と呼ばれ、ノコンギクは「野に咲く紺色の菊」を言い表したものです。ノコンギクの葉質は薄くて光沢はなく、楕円形で両面に短毛があり葉がざらつくことから、ハマコンギクと区別できます。同じ時期に咲くカントウヨメナ(ヨメナ属)の花もハマコンギクに似ていますが、冠毛が短くて肉眼では見られません。また葉は披針形で毛がなく、ノコンギクの葉のようなざらつきはありません。
2020年08月24日