江の島の植物・タイサンボク
2020年09月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
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タイサンボク(泰山木・大山木)Magnolia grandifloraはモクレン科、モクレン属の常緑高木で北米中南部の原産とされ、明治初期(1873年)に渡来したとされています。江の島では緑の広場などに植栽されており、初夏には白色で芳香のある大輪花を開いて美しい景観をつくります。樹高は10㍍に、樹皮は灰黒色で皮目があります。葉の長さは12~25㌢、幅は5~12㌢の長楕円形で厚い革質、鋸歯はなく全縁で、測脈は8~12対、表面には光沢があり、裏面は褐色の毛が密生します。葉柄の長さは2~3㌢。花期は5~6月、枝先に直径13~20㌢の芳香のある白色の大きな花を上向きに開きます。花弁は6個で花弁状の萼片が3個あり、上部に多数の雌しべがつき、その下部に雌しべを取り巻くように雄しべがつきます。
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開花後、花糸は紫色を呈する
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花被片は9枚
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開花前の雌しべは丸く曲がり、その下部を雄しべがくっつきあっています。開花後、花糸(雄しべの葯を保持する柄)は紫色を呈します。果実は袋果2個の集合果で長さは約10㌢に、10月頃には熟して開裂し、赤くて鮮やかな種子が垂れ下がります。タイサンボクは常緑樹で葉や花が大きく、初夏に大きな花をつけることから庭木や公園木としてよく用いられています。名前の由来は、大きくて厚い艶のある葉と大輪の白い大きな花を、泰山になぞらえてつけられたものと考えられています。泰山とは、中国山東省泰安の北方にある名山で、標高は1524㍍とされています。仲間のヒメタイサンボク(姫泰山木M. glauca)は、北米東部原産の落葉小高木で、花は小さく葉の裏に白い毛が密生します。
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