江の島の植物・ヒメヒオウギズイセン江の島では通路わきや龍野ヶ丘広場などで、直接手にとって見ることができます
江の島の植物・ヒメヒオウギズイセン
2020年10月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
ヒメヒオウギズイセン(姫緋扇水仙)Crocosmia×crocosmiflora は、アヤメ科クロコスミア属の多年草で原産は南アフリカ、ヒオウギズイセンとヒメトウショウブの種間交雑種とされる園芸品種で、わが国へ渡来したのは明治時代の中頃とされています。日当たりを好みますが順応性もあり、地下茎を伸ばして新しい球根をつくり増えます。この旺盛な繁殖力で野生化し、日本各地に広まったものと考えられています。江の島では通路わきや龍野ヶ丘広場などで、直接手にとって見ることができます。地下の球根から数本の茎(ストロン)が伸びて、その先端に新しい球根をつくって繁殖します。球根から伸びた葉は剣状で先端は尖り、左右交互に出て草丈は40~80㌢で幅10~35㍉に、中央に隆起した白い筋が見られます。
花期は6~8月、葉の間から伸びた花径は2~4枝に枝分かれして、それぞれの先端に穂状花序をつけます。それぞれの花序には3~5㌢の朱赤色の花が20個ぐらいつき、下方から咲き上がります。花被片は6枚で、内側と外側にそれぞれ3枚ずつあり、基部は合着して筒状になります。雄しべは3本、花柱は長く突き出て柱頭は3裂に、その先端はさらに2裂して、花冠の外に突き出ます。果実は蒴果で球形。名前の由来は、ヒオウギズイセン(檜扇水仙)に似ているが、小型で美しいことから、姫を冠してヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)に。旧属名がモントブレチア(Montbretia)で、今でもこの名が通称で用いられています。
2020年10月25日