江の島の植物・ハリギリ江の島では海側(裏参道側)の山地や龍野ヶ岡広場などで見ることができます。
江の島の植物・ハリギリ
2020年12月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
ハリギリ(針桐)Kalopanax septemlobusはウコギ科ハリギリ属の落葉高木で、別名をセンノキとも呼ばれ、北海道から九州の山地に自生します。樹高は15~25㍍になり、江の島では海側(裏参道側)の山地や龍野ヶ岡広場などで見ることができます。若木の樹皮は灰白色~灰褐色で、鋭い刺がつきますが、この刺は枝の表皮が変化したものとされています。成長すると小枝を除いてしだいに刺はなくなり、樹皮は厚みを増して黒褐色のコルク層に変わって縦に深く裂けます。葉は枝先に集まって互生し、葉柄の長さは10~30㌢に。葉身は掌状で5~9裂し、裂片の先は尖ります。葉の質は厚くてやや光沢があり、長さは10~30㌢に、ふちには細鋸歯があります。葉の裏側はやや白みを帯び、葉脈もはっきりしています。
花期は7~8月、枝先に球形の散形花序を総状に多数つけ、直径5㍉ほどの小さな淡紅色の花を多数開きます。花弁は5個で長さはおよそ2㍉の楕円形、雄しべは5個、花柱は2裂に。果実は球形で直径およそ5㍉、黒色に熟します。樹皮の表面は深く裂けて網目模様を呈します。龍野ヶ岡広場にはハリギリが数本ありますが、令和元年の台風(15号および19号)で、高木1本が倒木の被害を受けました。名前の由来は、材が白くキリ(桐)の材に似て、葉がキリの葉のように大きく、枝にとげ(針)があることから、ハリギリ(針桐)になったなどの説があります。ハリギリの新芽はややあくがありますが、天ぷらなどにして食用にすることができます。また根皮や樹皮は生薬として、筋肉痛などの鎮痛に用いられます。材は桐に似て柾目が美しいことから建築材や家具材などに供されます。
2020年12月25日