江の島の植物ヤマモモ江の島では北緑地やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。
江の島の植物・ヤマモモ
2021年4月25日 写真&文: 坪倉 兌雄
ヤマモモ(山桃)Myrica rubraは福井県以西の暖地の山地に生える常緑高木で雌雄異株、樹高は20㍍にもなります。潮風に強く、江の島では北緑地やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹高はおよそ6㍍で、樹皮は灰褐色、幹の途中から枝を張り出して、樹冠はほぼ球形になります。葉は青々として蜜に繁り、螺旋状に互生して、葉身の長さは6~10㌢、幅はおよそ2㌢の倒披針形で革質、先端はやや尖り、基部はくさび形。縁はほぼ全縁で無毛、葉表は濃緑色で艶があり、裏面には透明な小点(油点)が見られます。花期は3~4月、葉腋から花序を出し、雄花序の長さは約3㌢、雌花序の長さは約1㌢で、いずれも花に花被はなく、雄花では苞の中に雄しべが5~8個、雌花では雌しべが1個あり、花柱は紅色で2裂します。果実は球形の核果で、表面には粒状の突起があり、6~7月には熟して暗赤色になります。
果実は球形で直径は約2㌢に、熟すと食べられますが、そのままでは保存ができないので、ジャムや砂糖漬、果実酒などに用います。生薬では楊梅皮(ようばいひ)とよび、ヤマモモの樹皮をはいで日干しにしたものを煎じて、下痢や口内炎、ねんざやかぶれ、打ち身にも効果があるとされています。ヤマモモの木は潮風につよいので、浜の防風林や公園樹、街路樹、庭木などにも利用されています。名前は「山地に生え桃の実に似た丸い果実をつけることに由来する」ともいわれています。モモは古くから親しまれてきた果物の一つで、万葉集にも詠まれています。
向つ峰に 立てる桃の木 ならめやと 人ぞささやく 汝が心ゆめ (巻七 一三五六、詠人未詳)
向つ峰に 立てる桃の木 ならめやと 人ぞささやく 汝が心ゆめ (巻七 一三五六、詠人未詳)
2021年4月25日