江の島の植物ケヤキ江の島では神社境内やサムエル・コッキング苑で、ケヤキの大木を見ることができます
江の島の植物・ケヤキ
2021年5月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
ケヤキ(欅・槻)Zelkova serrataはニレ科ケヤキ属の落葉高木で、雌雄同株。本州、四国、九州の山野に自生しています。日本の代表的な広葉樹のひとつで、樹形が美しく寿命が長いことから、各地に天然記念物に指定されているケヤキも多くあります。また樹冠が扇を開いたような円形状で美しく、庭木、公園樹、街路樹などにもよく植えられています。樹皮は灰褐色ですが、成長とともにウロコ状に剥がれてまだら模様になり、樹高は20㍍以上にもなります。江の島では神社境内やサムエル・コッキング苑で、ケヤキの大木を見ることができます。葉は互生して、表面には光沢があり、裏面は淡緑色、葉柄の長さは1~3㍉、葉の基部は浅い心形、葉身の長さは3~7㌢の卵形~卵状披針形で先端はとがります。葉の質はやや薄くてざらつき、縁には鋭い鋸歯があり、葉脈は鋸歯の先端に達します。
花期は4~5月で、新葉の展開と同時に開花し、雄花は小さくて淡黄緑、本年枝の下部の葉腋に数個ずつ集まってつき、花被は4~6深裂して雄しべは4~6個。雌花は本年枝上部の葉腋に1個~3個つき、退化した雄しべと1個の雌しべがあり、花柱は2裂します。果実はそう果で長さ4~5㍉のゆがんだ偏球形でかたく稜があり、10月に暗褐色に熟します。葉には「ケヤキハフクロフシ」の虫こぶが多数つくことがあり、形が果実に似ることから注意が必要です。名前の由来は、大木になり社寺などの建築材、器具、彫刻材、楽器など用途が広く、細かな木目が美しく、際立って美しい貴重な木であることからケヤキ(貴木)、などの説があります。万葉集に7首詠まれ、その内の1首をここに紹介します。槻郡はケヤキの群生を意味します。
速(とく)来ても 見てましものを 山背(やましろ)の 多賀(たか)の槻群(つきむら)散りにけるかも
巻三 ニ七七、高市連黒人(たけちのむらじくろひと)
2021年5月10日