ザ・ライバル 広重・国芳・三代豊国の共演
東海道五十三対の世界
5月29日(土)に行われた「学芸員によるみどころ解説」に参加してお話しをうかがいました。そのお話も参考にしながら私なりに今回展示の見どころを紹介したいと思います。
※揃物(そろいもの)とは、あるテーマのもと複数枚の浮世絵をシリーズ化して出版したものです(中山道広重美術館 浮世絵豆知識より引用)。
■「豊国 にかほ」「国芳 むしゃ」「広重 めいしょ」 三人の絵師を見比べる
歌川国芳(1797年~1861年)は、12歳で初代歌川豊国に画才を認められ、15歳頃に入門とされています。武者絵を得意としていましたが、名所絵や風刺画など幅広いジャンルの作品も残しています。
歌川広重(1797年~1858年)は歌川豊広に入門。当初は役者絵、美人画、武者絵などを描いていましたが、天保年間より名所絵の揃物を手がけるようになって人気を博しました。出世作の通称「保永堂版東海道」は天保4年頃の作です。
嘉永6年(1853年)に刊行された評判記の浮世絵師番付には「豊国 にかほ(※)」「国芳 むしゃ」「広重 めいしょ」と記されていました。(※「にかほ」とは似顔のことをさします。)つまり、国貞(三代豊国)が役者絵、国芳が武者絵、広重が名所絵それぞれの第一人者であることが示されているのです。
三人の絵師がそれぞれの得意分野をどのように描いているかを比較しながら鑑賞するのも今回展示の見どころの一つだと思います。
■六軒の版元は天保の改革で錦絵分野に新規参入
■大阪版「東海道五十三対」は江戸版の模倣作
広重・国芳・国貞(三代豊国)による「東海道五十三対」(=江戸版)の模倣作で、江戸版にくらべると絵の比率が大きく描かれているのが特徴です。江戸版と見比べながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。
今回の展示はほぼ全館「東海道五十三対」一色ですが、江の島コーナーだけは「江の島と鎌倉 近代のたてもの」というテーマで、明治の時代の江の島や鎌倉を描いた作品を天保・弘化年間に描かれた浮世絵とともに展示されています。
風俗画報に掲載された石版画などが主に展示されています。展示作品から明治の頃の藤沢・鎌倉の風俗の一端をうかがい知ることができます。
・日にち:2021年6月20日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ 2回開催(各回30分程度)
・会 場:藤澤浮世絵館
・定 員:各回20名(申込み受付順)
・申込み:6月4日10:00から受付開始。
電話で藤澤浮世絵館にお申し込みください。
(電話:0466-33-0111)
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。
あわせてご覧いただければと思います。