江の島の植物・アメリカディゴ
2021年8月10日 写真&文: 坪倉 兌雄
アメリカディゴ(亜米利加梯梧)Erythrina crista-galliはマメ科ディゴ属の落葉低木~小高木で雌雄同株、別名でカイコウズとも呼ばれ原産はブラジル。アルゼンチンやウルグアイの国花とされています。日本には江戸時代末期に渡来したとされ、暖地の公園樹や街路樹に、また庭木としても用いられています。潮風や病虫害に強く、江の島では亀ヶ岡広場やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹形は半球形で、艶のある青い葉と赤い花は真夏の青空とよくマッチして、美しい景観をつくります。樹高は3~6㍍、樹皮は褐色で縦筋が入り、成長とともにコルク層は厚く隆起します。枝、葉柄、主脈などに曲がった小さな刺があります。花期は6~9月の暑い時期で、葉と総状花序が同時に伸びます。葉は緑色で厚く光沢があり、長い柄のある3出複葉で互生します。
小葉は卵状楕円形で長さは8~10㌢、幅3~6㌢で全縁、裏面はやや白っぽく葉脈が目立ちます。葉と同時に枝先から総状花序をだし、深紅色で長さ約5~7㌢の大形の蝶形花を開きます。旗弁は倒卵形で大きく下方につき、翼弁は萼に隠れて見えません。花は両性花で雌しべは1本、雄しべは雌しべの上部に9本と下部に1本で合計10本あり、雌しべを囲むようにつきます。花後に約13㌢の長い果実をつけますが、花後に弱剪定をして再び花を咲かせるために、果実を見ることはほとんどなく、冬には強剪定が行われます。名前の由来は南アメリカ原産で、ディゴに似ることから「アメリカディゴ」になったとされています。ディゴは漢名の「梯梧」の音読みで、アメリカディゴとは異なります。ディゴはインド原産で九州や沖縄によく植えられており、また鹿児島の県木にも指定されています。
2021年8月10日