涯(かけ)の岩船地蔵海老名駅からバスに乗り中心学園入口で下車。二体の石のお地蔵さまが仲良く祀られる。この地区の名を冠とする〝涯の岩船地蔵〟である。
涯(かけ)の岩船(いわふね)地蔵
2021年9月07日 (江ノ電沿線新聞)
海老名市 上今泉 中島淳一
海老名駅からバスに乗り中心学園入口で下車。バス停のすぐ横に小さなお堂があり、二体の石のお地蔵さまが仲良く祀られる。この地区の名を冠とする〝涯の岩船地蔵〟である。
向かって左側の合掌する像は平成七年造立の新しいお地蔵さまで、右側の像は江戸時代の享保四年(一七一九)に「岩船地蔵」として造立された旨がお体に刻まれている珍しい像である。こちらは右手に錫杖、左手に宝珠を持ち蓮台にのる。お顔は最近修理されたようだが、衣文の流れはとても美しい。
この「岩船」の名を持つ地蔵尊は全国に広く見られるが、これは江戸時代中期に栃木県の岩船山という地蔵菩薩を祀る霊山の信仰に基づく。また「岩船」の文字に因み、水や海に関連する願いをかなえてくれるという信仰も生まれた。海老名市内には数体の岩船地蔵が祀られるが、造立年はこの像と同じかその翌年に限られるので、その頃にこの地で信仰の高揚があったのだろう。
この「涯」という地名は、川の濁流により削られた崖の多い場所をあらわすといわれるが、将来起り得る自然災害への先人たちのメッセージを心に刻み、安穏な日々がいつまでもこの地に続くことを心より祈る。
向かって左側の合掌する像は平成七年造立の新しいお地蔵さまで、右側の像は江戸時代の享保四年(一七一九)に「岩船地蔵」として造立された旨がお体に刻まれている珍しい像である。こちらは右手に錫杖、左手に宝珠を持ち蓮台にのる。お顔は最近修理されたようだが、衣文の流れはとても美しい。
この「岩船」の名を持つ地蔵尊は全国に広く見られるが、これは江戸時代中期に栃木県の岩船山という地蔵菩薩を祀る霊山の信仰に基づく。また「岩船」の文字に因み、水や海に関連する願いをかなえてくれるという信仰も生まれた。海老名市内には数体の岩船地蔵が祀られるが、造立年はこの像と同じかその翌年に限られるので、その頃にこの地で信仰の高揚があったのだろう。
この「涯」という地名は、川の濁流により削られた崖の多い場所をあらわすといわれるが、将来起り得る自然災害への先人たちのメッセージを心に刻み、安穏な日々がいつまでもこの地に続くことを心より祈る。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2021年9月3日