江の島の植物アキカラマツ
アキカラマツはキンボウゲ科の多年草で、江の島では参道わきや江の島大師の境内、海辺の山側などで見ることができます。
アキカラマツはキンボウゲ科の多年草で、江の島では参道わきや江の島大師の境内、海辺の山側などで見ることができます。
江の島の植物アキカラマツ
2021年10月10日 写真&文:坪倉 兌雄
アキカラマツ(秋唐松)Thalictrum mimus var. hypoleucumはキンボウゲ科カラマツソウ属の多年草で北海道、本州、四国、九州に分布し、山野で普通に見られます。江の島では参道わきや江の島大師の境内、海辺の山側などで見ることができます。茎は緑色で無毛、縦筋があり、高さは70~150㌢に、上部はよく枝分かれします。葉は2~4回3出複葉で、葉柄の基部につく托葉には波状歯があり、葉の1~2節に小托葉があります。小葉はやや粉白色を帯びた緑色で卵形、先は浅く3~5裂して長さは1~5㌢、裏面に葉脈が隆起します。花期は7~9月、茎の先に大きな円錐花序をつけます。花は淡黄白色の小さな花で、花弁はなく、萼片は花びら状で3~4個あり長さは約4㍉、早期に落ちて多数の雄しべが目立ちます。
雄しべは多数あり、長さは葯を含めておよそ6㍉に、雌しべは2~4個で花柱はなく、子房に直接柱頭がつきます。果実は痩果で種子が1個入ります。名前の由来は、花に花弁がなく、糸状の長い雄しべを樹木の落葉松(からまつ)にたとえ、夏だけでなく、秋にも花をつけることから、秋唐葉松(アキカラマツ)になったとされています。全草に苦みがあり、長野県の高遠地方では、古くから腹痛の薬として用いてきたとされ、第二次大戦中、当時の厚生省が国内の薬用資源を調査した際に発見し、これを高遠草(たかとうぐさ)とよび、日本で独自に開発した生薬の一つになりました。茎や葉にアルカロイド系のベルベリン、タカトニン、マグノフロリンなどの有効成分があり、開花期に全草を採取して乾燥保存し、腹痛や下痢などに用いるとされています。(参考文献:薬になる植物図鑑、柏書房)
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2021年10月10日