江の島の植物コウヨウザン
江の島では江島神社(辺津宮)の境内で見ることができます
江の島では江島神社(辺津宮)の境内で見ることができます
江の島の植物コウヨウザン
2022年01月10日 写真&文:坪倉 兌雄
コウヨウザン(広葉杉)Cunninghamia lanceolata はスギ科コウヨウザン属の常緑針葉樹で、雌雄同株の高木。原産地は中国南部、台湾、インドシナとされ、江戸時代末期に渡来し、暖かい地方によく植えられています。真直ぐ天に向かって伸びる樹形が好まれて、神社やお寺の境内などによく植えられ、江の島では江島神社(辺津宮)の境内で見ることができます。樹冠は広円錐形で高さは20㍍以上になり、根本には萌芽した枝がよく見られます。樹皮はスギ(杉)に似て赤褐色、縦に長く裂けます。枝は幹から輪生して先端の部分はやや垂れます。葉は長さ3~7㌢の偏平な鎌状長披針形でかたく、枝に互生します。葉の表面には光沢があり、先端は尖って触れると痛みを感じます。
葉の縁には細かい鋸歯があり、裏面には白い線(気孔線)が2本走ります。古くなった葉はばらばらではなく枝ごと落ちます。開花は新葉が展開する4月頃で、長く張り出した枝先に1個の雌花とそれを囲むようにして多数の雄花がつきます。雌花は卵状球形で黄緑色、雄花は長楕円形で黄褐色を呈します。花後に雌花は丸く膨らみ淡緑色の果鱗で覆われ、3~5㌢の卵状球形になります。この球果は10~11月には成熟して、褐色になると枝ごと落ちます。球果には多数の種子があり、種子は黄褐色で長さは6~7㍉の扁平な楕円形、幅の広い翼があります。日本では神社・仏閣や植物園などで植栽されたものを見ることができます。名前の由来は、葉が大きくて樹皮が杉に似ることによるとされています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年01月10日