江の島の植物メタセコイア
江の島では江島神社境内やサムエル・コッキング苑などで見ることができます
江の島では江島神社境内やサムエル・コッキング苑などで見ることができます
江の島の植物メタセコイア
2022年01月25日 写真&文:坪倉 兌雄
メタセコイア(Metasequoria glyptostro-boides)はヒノキ科メタセコイア属の落葉高木で、1945年に中国の四川省で発見され、生きた化石として、有名になったものとされています。その後、種子から育苗された若木がアメリカから日本へ送られ、挿し木などによって育成された苗木が、各地の神社、公園、学校などに移植されました。原産地では樹高が35㍍にもなるとされていますが、日本ではそれより一回り小さく、樹高約20㍍、直径約50㌢になり、樹冠は広円錐形になります。江の島では江島神社境内やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹幹は直立して、樹皮は赤褐色で縦に浅く裂け、はがれて落ちます。枝は無毛で緑色から灰褐色になります。側枝の長さは約10㌢、側枝につく葉は偏平で、側枝に2列対生します。葉身の質は柔らかく、長さ2~3㌢、幅は約1㍉で線形。雌雄同株。
側枝は枝に対生する
晩秋に垂れ下がった雄花の蕾
花は2~3月に開花、雄花は枝先に長く垂れ下がった花序に多数つきます。雌花は緑色で、短枝の先に1個ずつつき、受粉すると成長して球果ができます。球果は卵状球形で長さ2~2.5㌢、10月頃には成熟して褐色になり、果鱗を開いて数個の種子をだします。種子は4~5㍉の倒卵形で、幅の広い翼があり、風に乗って飛びます。この頃には、成長過程にある新しい花の蕾が、来春の開花に向けて、すでに垂れ下がっています。メタセコイアの樹冠は広円錐形で、秋には茶褐色に紅葉して美しい景観をつくりますが、その後、葉は小枝とともに落下します。名前の由来は、日本の植物学者三木茂博士が、化石の中から未知の植物化石を発見し、メタセコイアと命名したことによります。公園樹や街路樹に、材は器具材などに用いられます。同じヒノキ科の樹木にラクウショウがあり、メタセコイアによく似ています。両者の大きな違いは、ラクウショウは沼地や湿地に生え、気根をだします。葉は線形ですが、つき方が異なり、長枝では螺旋状に、下部の短枝で羽状に互生します。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年01月25日