江の島の植物・エゴノキ
江の島では北緑地でエゴノキを見ることができます。
江の島では北緑地でエゴノキを見ることができます。
江の島の植物・エゴノキ
2022年06月25日 写真&文:坪倉 兌雄
エゴノキStyrax japonicaはエゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木で、北海度~沖縄の山地に生え、幹はあまり太くならず、根本から数本のひこばえをだして株立ちになり、樹高は7~15㍍になります。若木の樹皮はなめらかで暗灰褐色に、縦長の細い網目模様や筋などが見られ、成長すると樹皮は暗紫褐色になります。江の島では北緑地でエゴノキを見ることができます。葉は互生し、長さ5~9㌢の長楕円形で幅2~4㌢、先端は鋭くとがり、基部はくさび形。葉の質はやや薄くて無毛、鋸歯はほとんどなく、裏面は淡緑色で、脈に沿って星状毛が散生します。葉柄の長さは3~8㍉。花期は5~6月、今年のびた新枝の先に1~6個の白い花を下垂し、それぞれの花には2~3㌢の柄があります。花冠は約1.5~2㌢で5つに深く裂け、外面に星状毛が密生します。雄しべは 10個で花冠より短く、雌しべは雄しべより長くなります。
果実はさく果で長さ1~1.3㌢の卵球形、果皮の表面には星状毛が密生して灰白色になります。果実は秋に熟して果皮が縦に裂け、褐色の種子が1個出てきます。種子は卵形で長さは約1㌢。名前の由来は「えごい木」で、果皮はあくが強く、なめると喉がえごくなるので、エゴイの語幹エゴが元になった名前とされています。エゴノキに含有する成分にサポニンがあり、これがえぐみの原因とされています。かつて、エゴノキの実をすり潰して水を加え石鹸の代用として用い、またサポニンの働きで呼吸麻痺を起こして浮上する魚を獲るのに用いられました。エゴノキの材は緻密で粘り気が強く、工作しやすいことから、こけし、将棋の駒、お椀などの刳りもの、彫刻材、床柱や玩具、建築材などにも用いられています。エゴノキは別名でロクロギともよばれていますが、これは材を唐笠の轆轤(ろくろ)に使ったことに由来します。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年06月25日