江の島の植物・オオイヌタデ
北海道、本州、四国、九州に分布する大形の野草。江の島では海辺などで群落を見ることができます
北海道、本州、四国、九州に分布する大形の野草。江の島では海辺などで群落を見ることができます
江の島の植物・オオイヌタデ
2022年11月10日 写真&文:坪倉 兌雄
オオイヌタデ(大犬蓼)Persicaria lapathifoliaはタデ科タデ属の1年草、北海道、本州、四国、九州に分布する大形の野草で、道ばたや荒地などに生えます。江の島では海辺などで、オオイヌタデの群落を見ることができます。茎は直立してよく枝を分け、高さは1~2㍍になり、節は膨れて赤味をおびます。葉は披針形で大きく、互生して長さは15~25㌢に、葉柄は短く赤味を帯び、基部は楔形、全縁で先端は長くとがり、葉の基部には筒状の托葉鞘があり脈が目立ちます。花期は6~11月、茎頂に白色~淡紅色で長さ5~8㌢の穂状花序をだし、その先端は垂れ下がります。萼の長さは2~3㍉で4深裂し、先端は白色または淡紅色で、花弁はありません。4裂した花被(萼片)は、花後にそう果を包んで残り、そう果は偏平な円形で黒褐色に熟します。
名前の由来は、イヌタデの仲間で大形であることからオオイヌタデに、イヌは辛味がないので役に立たないことを意味します。しかしイヌタデなどの新芽や若葉は、茹でてあえものや油いためなどで食用にすることができます。同じタデ科タデ属の植物には、ハナタデ、イヌタデ、ヤナギタデ、サクラタデ、ハルタデなど、多くの種類があり、いずれも日本全土に分布しています。これらのうち葉に辛味があるタデはヤナギタデ(柳蓼)で、別名をホンタデともいい、香辛料として薬味や刺身に添える「つま」として用いられます。現在、香辛野菜として栽培されているアオタデ、ベニタデ、アザブタデなどはヤナギタデの変種とされ、茎や葉に含まれる辛味成分(タデオナール)は消化を促進し、胃を整える効果があるとされています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2022年11月10日