江の島の植物・ホトケノザ
江の島は広場や参道わきなどで普通に見ることができます
江の島は広場や参道わきなどで普通に見ることができます
江の島の植物・ホトケノザ
2023年02月10日 写真&文:坪倉 兌雄
ホトケノザ(仏の座)Lamiun amplexicauleはシソ科オドリコソウ属の越年草で、本州、四国、九州、沖縄に分布し、江の島は広場や参道わきなどで普通に見ることができます。茎は4稜形で毛が密生、基部から枝分かれして立ち上がり、高さは10~30㌢に。葉は対生して、下部につく葉に長い葉柄があります。上部の葉は半円形で段々について茎を抱き、長さ幅ともに1~2.5㌢、ふちに鈍鋸歯があります。花期は3~6月ですが、江の島では冬季にひっそりと咲いているのをよく見かけます。花は唇形で紅紫色、上部の葉腋から輪状に数個つけます。花冠は細長い筒状で長さは約2㌢、下唇は白色で長さは約2㍉、花の頭部に毛が密生します。萼は筒型で長さは約6㍉、毛が密生し、先端は5裂して裂片は尖ります。
花には蕾の状態で結実する閉鎖花も多く見られます。閉鎖花とは、花冠を開かないで、自花の雄しべと雌しべの間で受粉・受精する花を言います。果実は4分果で堅果は倒卵形、この種子の基部にはアリ(蟻)が好む種沈(エライオソーム)と呼ばれる物質がつき、熟した種子にアリが集まって巣へ運びます。運ばれたその場所が新しい生育場所となります。名前の由来は、葉の形を菩薩像の座である仏の座(蓮華座)に見立てたものとされています。また葉が段状につくことから、別名でサンカイグサ(三階草)とも呼ばれています。春の七草のホトケノザは本種ではなく、キク科のコオニタピラコです。ホトケノザは食用にはなりません。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年02月10日